第1編 労災保険制度をめぐる最近の状況
第1章 労災保険
1 労災保険とはどのような制度か
1 治療を受けるとき
2 治療が長引いたとき
3 治療が終わって身体に障害(後遺症)が残ったとき
4 不幸にして死亡したとき
2 最近問題となっている疾病(病気)と問題点
3 災害補償制度の種類
1 民間労働者の災害補償制度
2 国家公務員災害補償制度
3 地方公務員災害補償制度
4 民間労働者の2種類の災害補償
1 災害補償制度の変遷
2 労基法の災害補償と労災保険の差異
(1)適用対象労働者に違いがあること
(2)補償を行う者が異なること
(3)事故の内容が異なること
(4)業務災害か否かの判断をする者が異なること
(5)災害補償の内容が異なること
5 労基法と労災保険法の災害補償の関係
1 労基法上の災害補償の項目
2 労災保険と労基法の調整
3 労基法の適用労働者の枠は少ない
6 労災保険制度の機構
7 労災保険の給付対象となる労働者
1 「使用従属性」に関する判断基準
2 「労働者性」の判断を補強する要素
(1)パートタイマー、学生アルバイトの場合
(2)同居親族の場合
(3)請負人の場合
(4)一時的な請負の場合
(5)法人役員の場合
(6)労働組合の専従者の場合
(7)生命保険等の外務員の場合
(8)出向労働者の場合
(9)労働者派遣事業の労働者の場合
(10)プロ野球選手や力士の場合
(11)そ の 他
8 特別加入制度
1 中小事業主とその事業に従事する者
2 自営業者とその事業に従事する者
(1)自動車を使用して行う旅客または貨物輸送の事業
(2)建 設 業
(3)漁船による水産動植物の採捕の事業
(4)林業の事業
(5)医薬品の配置販売の事業
(6)そ の 他
3 特定作業従事者
(1)特定農作業従事者
(2)指定農業機械作業従事者
(3)国または地方公共団体が実施する訓練従事者
(4)家内労働者およびその補助者
(5)労働組合等の常勤役員
(6)介護作業従事者
4 海外派遣労働者等
第2章 業務災害認定
1 業務災害の定義
1 「業務上の事由」について
2 「業務上の事由による」について
2 業務災害認定に関する主な裁判例 57
1 使用者の支配下にある業務か
2 業務起因性が否定される場合
(1)業務中に被った外部的な打撃の生じた部位と災害部位とが異なる場合
(2)業務に就いているときでも事業主の指揮命令を排除している場合
(3)事故が労働者の故意行為から発生した場合
(4)災害発生の原因が事業主のために生じたものではない場合
(5)他人が労働者に対する私恨を原因に暴行を加えた場合
3 労基署の労災認定運用と評価
1 就業中の災害
(1)作業中の災害
(2)作業の中断中の災害
(3)作業に伴う必要行為または合理的行為中の災害
(4)作業に伴う準備行為または後始末行為中の災害
(5)緊急業務中の災害
2 就業時間外の災害
(1)休憩時間中の災害
(2)事業場施設の利用中の災害
(3)事業場施設内で行動中の災害
3 事業場施設外における災害
(1)出張中の災害
(2)業務上の通勤災害
(3)赴任途中の災害
(4)運動競技会、宴会、その他の行事に出席中の災害
(5)療養中の災害
4 その他の災害
(1)天変地変による災害
(2)他人の暴行による災害
(3)その他の事由による災害
(4)原因不明の災害
第3章 職業病(業務疾病)
1 典型的な職業病(中毒)
2 腰痛、頸肩腕症候群の労災認定
1 腰 痛
(1)災害性腰痛の場合
(2)非災害性腰痛の場合
2 頸肩腕症候群
第4章 労災保険の給付内容
1 労災保険給付のあらまし
2 療養(補償)給付
1 指定病院における療養の給付
2 非指定病院における療養の費用の支給
3 療養給付の範囲
(1)入院の場合
(2)看護の場合
(3)訪問看護の場合
(4)通院・移送などの場合
(5)柔道整復師施術の場合
(6)そ の 他
(7)「治癒」について
3 療養(補償)給付の請求書
4 第三者行為災害
1 被災労働者や遺族が加害者との間で示談したとき
(1)労災保険給付を受ける前に示談した場合
(2)労災給付の継続中に示談をした場合(支給停止)
(3)労災給付完了後に示談をした場合(求償)
2 被災労働者や遺族が加害者(第三者)から損害賠償を受けたとき
(1)調整の対象とならないとき
(2)労災給付と民事損害賠償の支給調整のあるとき
(3)労災給付金以下しか損害賠償を受けなかったとき
(4)保険給付が損害賠償受給より先に行われたとき
3 被災労働者の労災事故が自動車交通事故のとき
5 休業(補償)給付
1 支給額と留意点
2 刑事拘禁されている場合
(1)懲役、禁固もしくは拘留の刑の執行のためもしくは死刑の言い渡しを受けて刑事施設に拘留されている場合
(2)労役場留置の言い渡しを受けて労役場に留置されている場合
(3)監置の裁判の執行のために留置されている場合
(4)少年法による保護処分として少年院もしくは児童自立支援施設に送致され、収容されている場合
(5)売春防止法の規定による補導処分として婦人補導院に収容されている場合
3 スライド制と最低・最高限度額
4 請求の手続き
6 傷病(補償)年金
1 支給条件
2 傷病補償年金と解雇の関係
7 障害(補償)給付
1 給付の内容
2 給付基礎日額
3 算定基礎日額
4 請求の手続き
5 障害等級
(1)障害等級の併合
(2)加重障害
(3)障害等級の変更
6 障害(補償)年金前払一時金
7 障害(補償)年金差額一時金
8 介護(補償)給付
1 常時介護を要する障害の程度
2 随時介護を要する障害の程度
3 請求の手続き
9 二次健康診断等給付
1 支給条件
(1)一次健康診断の結果、異常の所見が認められること
(2)脳・心臓疾患の症状を有していないこと
(3)特別加入者でないこと
2 支給内容
(1)二次健康診断
(2)特定保健指導
3 給付請求の方法
10 遺族(補償)給付
1 遺族(補償)年金
(1)受給権者
(2)給付の内容
(3)請求の手続き
2 遺族(補償)一時金
(1)受給権者
(2)給付の内容
(3)請求の手続き
3 遺族(補償)年金前払一時金
(1)給付の内容
(2)請求の手続き
4 遺族(補償)年金の受給権者が変わるとき(失権と失格)
11 葬祭料(葬祭給付)
第5章 通勤災害の認定
1 通勤災害保護制度発足の経緯
2 通勤災害の定義
3 業務災害と通勤災害の違い
4 通勤災害の主な事例
1 「就業に関し」について
2 「住居」について
3 「就業の場所」について
4 「合理的な経路および方法」について
5 逸脱と中断
第6章 事業主が加害者になった場合の労災保険と損害賠償
1 裁判所による損害計算と労災給付の調整
1 受給権者のみの調整の原則
2 損害項目別調整の原則
3 特別支給金の非控除の原則
4 既支給分と将来年金調整の原則
(1)履行の猶予
(2)免 責
2 事業主から損害賠償を受けた被災労働者などに対する災給付の停止など
1 支給調整される損害の項目
2 損害額の算定方法
3 支給調整されない給付
4 逸失利益に相当する支給停止の期間
5 支給調整されないもの
3 調整の計算例
1 傷害だけの場合の計算例
2 障害を残した場合の計算例
3 入院ののち死亡した場合の計算例
第7章 不服申立と行政訴訟の手続
1 不服申立制度
2 審査請求の手続き
第2編 労働災害をめぐる最近の事情
第1章 労働災害とは
1 労働災害とは、どのような意味か=労働災害の特徴
2 なぜ労災は手厚く保護されるのか
3 労災は、どの位発生しているのか(現状)
4 労災はどうして予防できないのか
1 国の役割
2 事業主団体の役割
3 事業主の役割
(1)不安全状態の除去
(2)作業方法の適正維持
(3)不安全行動の除去
4 労働者の義務
(1)労安法による罰金制裁
(2)業務上過失致傷罪の制裁
(3)労基法による制裁
(4)労災保険法上の制裁
(5)民法の損害賠償請求上の制裁
(6)労働契約上の制裁
5 労災発生後の救助
1 被災労働者の救出
2 被災の程度の把握・病院への搬送
3 上司や安全スタッフの対処
4 被災労働者の病院への搬送
5 労基署などへの連絡、報告
6 労災現場の保全と記録
7 その後の対応
6 被災労働者の救済(解雇制限など)
1 被災労働者には身分の保障があるか
2 仕事を休んでいる被災労働者が治療していないときも解雇できないのか
3 労災保険の傷病補償給付を受けると解雇できるか
4 打切補償を支払えば解雇できるか
5 解雇制限が解消されると、事業主は当然に解雇できるか
6 懲戒に該る場合でも解雇できないのか
7 有期労働者や定年となった労働者にも解雇制限はあるのか
8 解雇制限期間中に解雇予告を行っても有効か
9 通勤災害は保護されるか
10 休業中の賃金(給与)はもらえるか
11 社宅や厚生施設は利用できるか
12 配置転換してもよいか
13 休職期間中に期間満了や定年となったときは解雇できるか
14 就業規則や労働協約による災害補償の上積み制度とは何か
第2章 労災隠し
1 労災隠しとは
2 労災隠しは被災労働者にどのような影響を与えるか
1 事故直後の治療
2 けがや病気のために仕事を長く休む場合
3 後遺症が残って、働く能力が落ちてしまった場合
4 家族が自宅で付き添うことなどが必要になった場合
5 労働者が不幸にして死亡した場合
6 労働者としての地位
7 民事賠償
3 労災隠しはなぜ行われるのか
4 労働者自身が労災を隠す場合があるがなぜか
5 労基署の対応はどうか
6 事業主はなぜ労災隠しを行うのか
1 事故直後の対応
2 上司への未報告
3 無災害記録のノルマを果たせないという懸念
4 下請負業者と元請会社の関係
5 労災保険のメリット制度
6 外国人労働者、派遣労働者
7 厚労省の労災隠し対策
8 事業主の行う対策
9 労災隠し対策の疑問点
1 治療を労災で受けるのか、健康保険を適用するのか
2 死傷病報告の未提出
3 労災保険の認定の遅さ
第3章 過労障害(過労死)
1 労働時間とは何か
1 36協定
2 変形労働時間制
2 過労とは何か
3 どうして体を悪くするまで残業するのか
4 過労死が発生する医学的なメカニズム
5 労災認定基準の疑問点
6 労災認定・裁判例の件数と重要な最高裁判決
1 認定基準の「長時間労働」の最高裁判決
2 認定基準の「異常な出来事」の最高裁判決
(1)事件の内容
(2)最高裁判決の内容(要旨)
3 最高裁の要件
4 最高裁判決と労災保険の認定基準との違い
第4章 過労自殺
1 自殺と労災認定
2 自殺防止対策
3 過労自殺の労災認定基準
4 批判(遺族は救われない)
第5章 過労自殺をめぐる企業の安全配慮義務
1 損害賠償裁判
2 最高裁判決の登場
3 平成12年3月24日最高裁判決(電通事件)
4 注意義務
5 予見可能性について
6 過失相殺
1 使用者の責任を無しとする例
2 使用者の責任を減額する過失相殺の例
3 過失相殺を行うべきでない(労働者の過失などが0%)事例
(1)労働者に事故発生の予見可能性がない場合
(2)労働者の過失と損害との間に相当因果関係のない場合
(3)労働者の過失が使用者の注意義務違反の内容に包含されてしまう場合
(4)使用者に物的安全措置違反があり、労働者には作業上の不手際があったにすぎない場合
(5)企業の体質として安全を軽視し、安全費用支出に極度に手抜きを行っている場合、また、労働者の過失が使用者の過度な労働強制や過酷な労働条件の結果生み出されたものと考えられる場合
第6章 派遣労働
1 派遣労働とは何か
2 なぜ派遣労働者は増えているのか
3 事業主はなぜ非正社員を選ぶのか
4 派遣労働の種類
1 派遣労働を業としている事業所の区分
(1)特定労働者派遣事業
(2)一般労働者派遣事業
2 業務の範囲
5 派遣のタイプ
6 主な規制
1 派遣元が講ずべき主な措置
2 派遣元が負う責任事項
3 派遣先が講ずべき主な措置
4 派遣先が負う責任事項
7 派遣労働違反の罰則
8 禁止されている派遣業務
9 最近の派遣労働にまつわる事件
10 偽装請負などの派遣労働にまつわる問題
1 偽装請負
2 二重派遣
3 派遣店員
4 出 向
11 行政処分
12 アメリカのバブル破綻とわが国への影響
1 政府の掲げる雇用対策
2 ワークシェアリング導入の動きと留意点
13 派遣労働者の労災
第7章 外国人労働者と労災
1 外国人労働者に関する実情
1 外国人労働者は、日本に何万人位いるのか
2 外国人労働者には日本人と同様に労働法は適用されるか
3 外国人労働者を雇用するときの注意点は何か
4 外国人労働者に在留資格がないときでも労災保険は支給されるか
2 外国人労働者の損害賠償裁判
第3編参考資料
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について
心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について(※平成21年4月6日改正部分を追加)
最近の労災の企業責任の動向
外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針