お問い合わせ

  • 〒101-0032
  • 東京都千代田区岩本町1-2-19
  • 株式会社日本法令 ZJS会員係
  • 会員直通:03(6858)6965
  • FAX番号:03(6858)6968
お電話での受付時間
平日 9:00~12:00
  13:00~17:30

お問い合わせはこちら

SSL グローバルサインのサイトシール

このシステムは、SSL(Secure Socket Layer) 技術を使用しています。ご入力いただいたお客様情報はSSL暗号化通信により保護されております。SSL詳細は上のセキュアシールをクリックして確認することができます。

税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(東京地裁令和4年1月21日判決)

2023年12月01日
旅券の写しがなければ輸出免税とはならず
東京地裁令和4年1月21日判決
---------------------------------------------------------
輸出物品販売場を営む事業者が、外国人観光客向けに高級時計を販売し、輸出免税を適用した上で仕入税額控除をしていたところ、購入者の旅券の写しがないため輸出免税とは認められず、また買取先も虚偽が疑われるため仕入税額控除も認められないとして処分された。東京地裁は、旅券の写しと実質的に同等の書面があっても、旅券等の写しがない以上、消費税法の定める要件を満たしているとはいえない、などと判示して事業者の請求を棄却した。
---------------------------------------------------------
時計・貴金属等の輸出入・売買等を営むX社は、平成25年12月、輸出物品販売場の許可を受け、外国人観光客に対して高級時計の販売をしていた。X社は外国人に時計を販売する際、消費税免税購入についての「購入者誓約書」を作成。誓約書には購入者の氏名、生年月日、国籍、旅券等の種類、番号、在留資格、購入年月日等の他、販売した商品の品名、数量、単価、販売金額を記載する各欄があった。
また、X社は販売する時計を買い取る際、買取申込者の免許証等の写しを添付した「買取承諾書」を作成していた。承諾書には氏名、電話番号、住所、生年月日、勤務先又は職業、申込者のサイン欄等の各欄があった。
X社は外国人観光客への時計の販売に関しては輸出免税とした上、買取りについて仕入税額控除を適用して消費税の確定申告をしていたが、新宿税務署長は平成30年6月、輸出免税及び仕入税額控除を否認する旨の更正処分等を行った。X社はこの処分を不服として提訴に及んだ。

裁判でX社は、消費税法施行令18条2項1号ハ(平成30年度改正で廃止)に定める「その所持する旅券等の写しを当該市中輸出物品販売場を経営する事業者に提出すること」とする要件は、消費税法8条1項による一般的・白紙的委任を受けて定められたものと解さざるを得ないことになり、旅券等そのものでなくとも、消費税法8条1項の趣旨及び目的を達成するためのものとして、旅券等の写しと実質的に同等のものがあれば足りると解するほかないと指摘。そうすると、本件誓約書には旅券の番号、氏名、生年月日及び国籍を記入することになっており、旅券等に係る情報と比較して不足するのは性別のみであり、施行令18条2項1号ハの要件を充足すると主張した。
また、時計の買取りに係る仕入税額控除については、仕入先として記載された者は、いずれも知人等に連れられて本件販売場に行き、承諾書に自身の名前や住所等を記載した上で身分証明書を提示したにとどまり、自身が時計を売却した事実はないなど、真実ではないと認められるため、仕入税額控除が適用できないとする国側の主張に対し、課税仕入れの事実が立証されれば仕入税額控除をしなければならないのであって、消費税法30条8項の「氏名」に「真実性」などという明文にない要件を加重することは租税法律主義に反するなどと主張した。

東京地裁は、まず、消費税法施行令18条2項1号ハの要件が「消費税法8条1項による一般的・白紙的委任を受けて定められたもの」とするX社の主張について、消費税法8条1項が基本的事項を定めて、個別具体的に政令に委任していると解される以上、その委任を受けた施行令において、その範囲内において一定の手続的な要件を定めることが委任立法として一切許容されないと解さなければならない理由は見当たらないと指摘。施行令18条2項1号は、消費税法8条1項による委任を受けて定められた有効なものであるところ、X社は購入者から旅券等の提出を受けていないことが認められ、施行令18条2項1号ハの要件を満たしていないと認定し、時計の譲渡に関して消費税を免除することはできないというべきと判断した。
また、仕入税額控除の可否については、証拠等によれば、仕入先とされた者は学生、アルバイトあるいは会社員であった者であることが認められるところ、これらの者が関わった時計の売却に係る金額は、これらの者が自身の所有物として売却する金額を大きく超えていることに加え、本件販売場においては、買取申込者が同行者を連れて来店し、買取申込者ではなく同行者が承諾書に記載するなどして時計の買取りが行われることがあったことも踏まえると、これらの者が各仕入れに係る時計を売却したことがないなどとする点は充分に信用することができると判示。そうすると、承諾書記載の仕入先には真実と異なる仕入先が記載されているものであり、本件各仕入れについては帳簿及び請求書等を保存しない場合に当たるというべきと判断し、国側の処分をいずれも適法と認めた。