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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和5年11月9日裁決)

2024年09月27日
建築・売買制限がある土地も通達評価が妥当
令和5年11月9日裁決
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相続した土地の評価において、土地が市街化調整区域内に所在すること等が財産評価基本通達に定める評価方法によらない「特別な事情」に該当するかが争われた。審判所は、相続人の主張する事情は固定資産税評価額の算定に既に反映されている等として、特別な事情に該当しないと認定した。
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平成28年6月、甲が死亡し、その相続が開始した。相続人は長男Xと長女であり、平成29年4月、Xが相続財産のすべてを取得する旨の遺産分割協議書が作成された。
相続財産にはA市の土地1~3が含まれており、土地1と土地2は被相続人が所有する工場・物置・倉庫等の敷地として利用されていた。なおA市では、昭和45年に市街化区域と市街化調整区域との「線引き」がなされていた。土地1~3の登記上の地目は「田」であったが、この線引きにより宅地となっていた。
Xは、相続税申告書を期限内に提出した後、平成30年5月、土地1~3の評価金額に関する修正申告書を提出した。
さらにXは、令和4年4月、修正申告における土地の評価額に誤りがあったとして、更正の請求をした。
これに対し原処分庁は、更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。
令和5年3月、Xは原処分の一部を不服として審査請求に及んだ。

Xは、土地1~3は市街化調整区域内に所在し、かつ、線引き以降に宅地となった土地であるため、都市計画法や農地法による建築制限や売買制限があり、その価値が大幅に減少することから、評価通達の定める評価方法によるべきではない特別の事情がある等と主張した。

これに対し審判所は、
(1) たしかに土地1~3は市街化調整区域内に所在し、線引き以降に宅地となった土地であるため、都市計画法43条により建築物等の建築等を制限されるものの、平成28年度の固定資産税評価額の算定においては不動産鑑定士による市場特性等を考慮した鑑定評価に基づき線引き後の建築制限を考慮した減価修正がされたものと認められ、Xの主張は固定資産税評価額の算定において既に考慮されていると認められる
(2) 土地1~3は、相続開始日より前から工場・物置・倉庫等及び居宅等の敷地の用に供され宅地として利用されており、固定資産税評価額の算定においても現況の地目は宅地とされていること等からすれば、登記上の地目が「田」であることから売買においては農地法関連の諸手続の費用がかかるという意味での制限があるとしても、土地の価額に影響を及ぼすべき事情となるとは認められない
等として、Xが主張する事情は、評価通達の定める評価方法によるべきではない特別の事情には該当しないと判断。その主張を斥けた。