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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和6年12月10日裁決)

2025年07月11日
請負業者を経由して関連法人に支払われた代金は寄附金に該当
令和6年12月10日裁決
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建物と構築物の建設を建設会社に発注、その請負工事代金を支払ったが、建設会社は代金の一部を請求人の関連法人に支払った。課税庁はこれを請求人から関連法人への対価のない支払として「寄附金」と認定。請求人は、関連法人が建設会社からの委託を受けて行った土地整備工事、組立作業等の対価であると主張した。審判所は、建物については建設会社が関連法人から役務の提供等を受けていないとして寄附金の額に該当すると判断したが、構築物については実際に組立工事を行ったものと認め、この部分についての寄附金認定は取り消した。
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X社は農業生産法人であり、代表取締役はA1、取締役はA2である。
B1社、B2社、B3社は、いずれもA1やA2が代表取締役等を務める、X社の関連法人である。

平成27年、X社は、補助金を受けて管理棟・倉庫等を新築した。新築にあたりX社は、建設会社C社との間で請負代金を約5,518万円とする工事請負契約書を取り交わし、またその設計について、建築士Dとの間で業務委託料を540万円とする設計の業務委託契約書を取り交わした。
C社は、X社から上記請負代金が支払われた後、その一部を関連法人B2社とB3社に支払った(支払1)。
同様にDは、X社から上記業務委託料が支払われた後、その一部を関連法人B1社に支払った(支払2)。
さらにX社は、補助金を受けてパイプビニールハウスを取得した。取得にあたりX社は、建設会社C社との間で、請負代金を約1,722万円とする工事請負契約書を取り交わした。
C社は、X社からこの請負代金が支払われた後、その一部を関連法人B1社とB2社に支払った(支払3)。
X社は、平成28年7月期において、これら支払1~3を管理棟・倉庫等及びパイプビニールハウスの取得価額として資産計上した上で、その減価償却費、固定資産圧縮損及び特別償却準備金認容額並びに消費税の課税仕入れに係る支払対価の額を計上・申告した。

令和5年9月、原処分庁は、支払1~3はいずれも法人税法37条7項に規定する寄附金の額に該当するものであり、各契約はX社が事実を仮装して作成したものである等として、法人税等・消費税等の各更正処分、過少申告加算税・重加算税の賦課決定処分、及び青色申告の承認の取消処分を行った。
令和5年12月、X社は、処分を不服として審査請求に及んだ。

原処分庁は、支払1~3はX社が各請負代金等に含めることとしたものであり、X社が建設会社C社及び建築士Dを介して関連法人各社に贈与したものと認められることから、寄附金の額に該当する等と主張した。
これに対しX社は、支払1~3は、B1~3社がC社やDから委託を受けた土地整備工事、設計業務、組立作業等の役務提供の対価であるから、寄附金の額に該当しない等と反論した。

審判所はあらためて事実調査のうえ、まず支払1について、
・C社はX社の指示により、各関連法人に支払をしている
・一方でC社は、各関連法人からの役務の提供は受けておらず、反対給付も受けていない
・工事請負契約書記載の請負代金約5,518万円は、C社の実行予算約1,363万円を大幅に超えている
ことから、X社は支払1相当金額を含めて契約書を作成するとともに、支払1を関連法人に支払うよう指示していたと認められる等として、支払1は法人税法37条7項規定の寄附金に該当すると認定。
支払2についても、同様に寄附金に該当すると認定した。
ただし、支払3については、B1社が工期内に工事に係る組立作業等につき作業者を確保し従事させていることや、B2社がC社に対し工事に係る農業用資材を売却していることから、寄附金に該当しないと認定。
以上をふまえ、あらためてX社が納付すべき金額等を計算。支払3に係る部分について、原処分の一部を取り消した。