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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和6年11月1日裁決)

2025年09月12日
外国子会社に該当するかどうかは「出資の金額」で判定
令和6年11月1日裁決
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内国法人が有する複数のグループ会社(米国LLC)が、外国子会社合算税制における「外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社」に該当するかどうかが争われ、各「外国関係会社」が保有する各「外国子会社」の株式等保有割合が争点になった。法律上「株式又は出資の数又は金額」には「株式の数」「株式の金額」「出資の数」「出資の金額」の4通りがあるところ、請求人は「出資の数」を用いて判定すべきと主張したが、審判所は、米国LLC法等を根拠に「出資の金額」により判定すべきとした。
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内国法人X社は、米国に複数のグループ会社(米国LLCを含む)を有していた。
各社の資本関係は、X社を頂点とし、「X社→A社→B社→……」のように出資が連鎖する関係にあった。
X社は、各事業年度の法人税について、青色申告にて期限内に提出した。その際X社は、複数のグループ中間会社を通じて出資している米国LLC4社について、X社の所得金額の計算上、4社の分配金を算入しなかった。
これについて原処分庁は、4社に出資している各グループ中間会社は外国子会社合算税制(CFC税制)の対象となる特定外国関係会社に該当し、4社の分配金は剰余金の配当としてX社の各事業年度の基準所得金額に算入される等として、令和5年8月付で更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
令和5年11月、X社は処分を不服として、審査請求をした。

そもそも、令和2年改正前の租税特別措置法66条の6第2項2号イは、同(1)~(5)に該当しない外国関係会社はCFC税制の対象となる旨規定しており(特定外国関係会社)、同(3)は「外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社」を掲げているところ、措置法施行令39条の14の3第5項は「外国子会社」について、発行済株式等のうちの「株式の数」「株式の金額」「出資の数」「出資の金額」(又は「議決権のある株式の数」「議決権のある株式の金額」「議決権のある出資の数」「議決権のある出資の金額」)のうち、外国関係会社が保有しているこれらの「数」又は「金額」の占める割合(株式等保有割合)のいずれかが25%以上である外国法人等をいう、と規定している。

X社は、4社に出資している各グループ中間会社の保有する株式等保有割合の判定においては「出資の数」(又は「議決権のある出資の数」)を用いることができ、その割合はいずれも25%以上であるから、4社は「外国子会社」に該当し、その4社の「株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社」である各グループ中間会社は特定外国関係会社には該当しないから、X社にCFC税制の適用はないと主張した。

審判所は、本件においては、
(1) 「出資の数」は、出資を均等の割合的単位に細分化する口数の定めがある場合において基準として用いることができると解されるところ、米国LLC法には持分を口数として均等の割合的単位によって細分化すべきこと等を定めた規定はなく、4社に係る契約書にも拠出資本及び持分に係る口数に関する定めはないことから、4社においては「出資の数」を
観念することができない
(2) 契約書には出資に基づく議決権に係る定めがあるとは認められないことから、4社においては「議決権のある出資」を観念することはできない
(3) LLCである4社の契約書には当然、株式に関する定めがない
ことから、4社に係る各グループ会社の保有割合は「出資の金額」で判定することになると判断。「出資の金額」に基づき保有割合を計算すると25%未満となることから、4社は「外国子会社」に該当しないと認定。
したがって、4社に出資する各グループ会社は「外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社」には該当せず、他のいずれの除外要件にも該当しないことから、X社の特定外国関係会社に該当し、X社はこの点でCFC税制の適用を受けることとなることから、原処分はいずれも適法であるとして、X社の主張を斥けた。