修正申告で生じた消費税は、修正申告年度の必要経費に算入
令和7年3月3日裁決
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個人事業者が行った複数年分の修正申告により生じた「新たに納付すべき消費税」の、事業所得の必要経費として算入する時期が争われた。納税者は、各課税期間と同一年にそれぞれ算入すべきと主張したが、審判所は、すべて修正申告した日が属する年分として算入するとして、審査請求を棄却した。
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Xは、コンクリート建造物の建設に使用する型枠の製造卸売業を営む個人事業者であり、税込経理方式を採用している。
令和5年10月、原処分庁は、Xが申告した令和2~4年分の所得税及び令和2~4課税期間分の消費税について調査を開始した。
令和5年12月、Xはこれら各年の所得税・消費税について、修正申告書を提出した。
この修正申告により新たに納付すべき各消費税額は、それぞれ対応する年分の事業所得の金額の計算上、必要経費にそれぞれ算入した。
原処分庁は、新たに納付すべき消費税額のうち令和2・3課税期間分について、令和2・3年分の事業所得の計算上、必要経費に算入できないとして、令和6年3月付で各年分の修正申告に係る過少申告加算税の各賦課決定処分をし、令和6年6月付で各年分の所得税等の各更正処分をした。
(※なお令和4年分については、新たに納付すべき所得税等が発生しないとして、更正処分はなされなかった。)
令和6年9月、Xは処分を不服として審査請求に及んだ。
Xは、修正申告により新たに納付すべきこととなった消費税額は、それぞれ対応する同一年の総収入金額を得るために直接に要した費用であるから、所得税法37条《必要経費》1項が規定する「その年中の総収入金額を得るために直接に要した費用」に該当し、本件においては修正申告に係る課税期間と同一年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきである等と主張した。
審判所はまず、所得税法37条1項の規定は、所得税に係る必要経費の算入時期について、債務が確定していることを要求しており、修正申告書に記載された消費税額については、その申告により債務が確定し、申告書が提出された日の属する年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することとなる旨を確認。
本件においてXは、令和5年12月に本件各課税期間に係る消費税等の各修正申告書を提出したのであるから、これによって各消費税額について納付すべきことが具体的に確定したといえ、そうすると事業所得の金額の計算上、各消費税額を必要経費に算入すべき時期は、Xが修正申告書を提出した日の属する令和5年分となるとして、Xの主張を一蹴。
原処分は適法であるとして、Xの請求を棄却した。