農家が行う干し芋製造は農業か製造業か
令和7年9月8日裁決
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自家栽培のさつま芋を加工して干し芋を製造していた農家が、消費税簡易課税制度の適用上、第二種事業(農業)に該当するとして申告していたところ、原処分庁は第三種事業(製造業)に該当するとして否認した。審判所は、農家が自家栽培した農作物を加工して販売する場合は農業の範囲と認められるが、本件では敷地内に作業所を設け、機械を導入し、専従の従業員を雇用して製造していたため、製造業に該当するとして納税者の審査請求を棄却した。
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コメ、さつま芋等の農業を営む個人事業者Xは、自家栽培のさつま芋を干し芋に加工の上、販売する業務を行っていた。Xは消費税の簡易課税制度を適用していたが、干し芋の製造については農業の一部と認識して「第二種事業」に該当する前提で控除仕入税額を計算し、令和2課税期間~令和4課税期間の消費税の申告を行っていた。
これに対し原処分庁は、「農家が自家栽培の原材料を使用して製造を行っている場合は農業に分類されるが、同一構内に作業所等があり、その製造活動に専従の常用従業者がいるときは製造業に分類される」とする日本標準産業分類総説の記載を根拠に、干し芋製造については「第三種事業」に該当するとして更正処分等を行った。
Xはこの処分を不服として審査請求に及んだ。
Xはまず、製造業とみなされる「作業所等」について、製造又は加工にのみ使用する建物をいうと解すべきであるが、Xの本件建物は多用途に使用する目的で建築したものであり、干し芋を加工する期間のみ一時的に使用するものであるから、臨時の作業所であり、日本標準産業分類の総説における「作業所等」には該当しないと指摘。
また、「専従する常用従業者」については、年に相当期間加工作業をする場合を指すのであり、本件臨時従業員のように干し芋の加工時期(約3か月)のみ雇用され加工作業に従事している者は、常用従業者に該当しないと主張した。
審判所は、「作業所等」に該当するか否かについて、本件建物には、蒸し工程で必要となるボイラー及び電動ウインチが備え付けられているほか、洗い工程やスライス工程では、芋洗機やスライス器具といった移動式の器具等が使用されていると認定。また、X及び本件各従業員は、干し芋の加工工程において、本件建物で作業をしていることから、本件建物は干し芋の加工に使用する機械・器具等が設置され、作業所等の機能を有していたとし、干し芋の加工時期である約3か月間においては、干し芋の加工のために使用されていたと指摘。したがって、本件建物は、干し芋事業に係る作業所等に該当するというべきと判断した。
また、本件臨時従業員が「専従する常用従業者」に該当するか否かについては、Xは11月下旬から翌年2月末までの一定程度の期間に本件臨時従業員を雇用して、干し芋の加工作業にのみ従事させていることからすると、当該期間中において加工作業に専従の常用従業者として雇用していると認めるのが相当と説示。したがって、本件臨時従業員は干し芋事業に係る製造活動に専従する常用従業者に該当するというべきと断定。Xの請求を棄却し、課税処分を適法と認めた。