就業規則改定に伴う一時金支給は退職金に該当
令和7年7月25日裁決
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病院等を運営する法人が、就業規則の改定により医師の定年を65歳とし、65歳を超えて勤務していた医師に対しては年俸制に移行した上、退職金名目で一時金を支払った。法人は退職手当等に該当するものとして源泉徴収等を行ったところ、原処分庁は、本件一時金は退職手当等に該当しないとして否認。法人の審査請求を受けた審判所は、法人の理事でない医師についての一時金は退職手当に該当するとし、理事である医師については、理事としての身分は変わらないものの、一時金は理事としての職務に対するものではないことから、やはり退職手当に該当すると判断、課税処分を全部取り消した。
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病院、診療所等を運営するX法人は、職員の定年について、就業規則により以下のように規定していた。
・定年は60歳。
・X法人が業務上必要と認め、本人が希望した場合は65歳まで継続雇用する。
この就業規則は医師に対しては適用していなかったため、A、B、C、Dの4名の医師(本件医師ら)は60歳を超えてからも勤務を続けていた。なお、Aは病院の院長であり、X法人の代表権等のない理事であった。
X法人は就業規則を以下のように改正することとし、令和4年2月の理事会で承認された。
・医師の定年を65歳とする旨明記する。
・定年延長の定めを廃止し、本人が希望する場合65歳まで再雇用する。
この時点で本件医師らは65歳を超えていたため、年俸制職員へ移行するとともに、同年3月31日、退職金の名目で一時金が支払われた。X法人は本件一時金が退職手当等に該当するとして計算した源泉所得税を納付、年末調整を行った。
原処分庁は令和6年7月、本件一時金が退職手当等に該当せず、賞与に該当するとして納税告知処分等を行った。
X法人はこの処分を不服として審査請求を行った。
原処分庁は、本件医師らに退職の事実があったかどうかについて、
(1) 本件医師らが新就業規則において再雇用の条件となる「業務の都合により特に必要と認めた者」であることを証する証拠や、X法人においてこれを検討した形跡がないこと
(2) 再雇用とされた前後で本件医師らの賃金は同水準であり、その役職も変動がなかったと推認されること
(3) 勤務関係が継続しているものとして年次有給休暇が付与されていること
から、X法人と本件医師らの間には退職及び再雇用という実質がなく、従来の勤務形態がそのまま継続していたことが推測されるなどと主張した。
審判所は、まず、B、C、Dの3名に係る一時金について、X法人においては本件医師3名を60歳を超えて65歳まで継続して雇用した上、65歳を超えても再雇用せずに継続して雇用していることからすると、医師の雇用には定年の定めを形式的に適用することなく、期間の定めのない雇用契約を継続する旨の合意があったとみるのが自然であると指摘。X法人の理事会も3名を退職扱いとし、年俸制の契約社員とする旨承認、3名もこれに合意して退職願を提出したと認められる、などとした。よって、本件医師3名はX法人における期間の定めのない雇用契約である従来の勤務関係を終了し、退職した上で、新たに有期雇用契約が締結されたものと認められ、本件一時金は退職を原因として給付されたものと認められると判断した。
また、理事Aについては、理事の身分に変更がないからX法人における勤務関係が終了したとはいえないが、使用人としては他の医師らと同様に従来の勤務関係が終了したと認められると説示。本件一時金は、理事としての職務に対するものではないこと等から、使用人としての関係においては、実質的にみて所得税法30条1項に規定する「退職により一時に受ける給与」というための各要件の要求するところに適合し、課税上、これと同一に取り扱うことが相当であり、同項に規定する「これらの性質を有する給与」に該当すると認められるため、退職手当等に該当すると判断した。