滞納者に帰属しない債権の滞納処分を全部取消し
令和7年7月3日裁決
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国税を滞納していた調剤薬局の債権を原処分庁が差し押えた上、債務者から取り立て、配当処分を行った。これに対し、差押えより前に調剤薬局の事業を買収した法人が、滞納とは関係のない自己の債権が差押え・配当されたことは違法として審査請求。審判所は、買収法人と債務者との間で商品の売買契約が有効に成立しており、債権は滞納者に帰属するものではなく買収法人に帰属するものと認め、配当処分は違法であったとしてその全部を取り消す裁決を下した。
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調剤薬局の運営を業とするX社は、令和5年12月、同業のA社との間で事業譲渡契約を締結、令和6年2月に事業の一切をA社から譲り受けた。なお、X社の代表者は、元A社の従業員であった。
X社とA社の従業員は、令和6年1月以降、A社の取引先に対してX社への業務移管を順次通知。またX社は、遅くとも4月頃にはA社が使用していた医薬品受発注用のオンラインシステムについても移管を受けた。
その後、A社の取引先B社は、宛先をA社として本件オンラインシステムを使用の上、医薬品の発注を行った。しかし、既にシステムはX社に移管されていたため、X社において受注され、納品された。
原処分庁は同年5月、A社の滞納国税を徴収するため、上記B社との取引に係る債権を差し押さえた上で、7月に本件債権の全額をB社から取り立て、配当処分を行った。
X社はこの処分を不服として審査請求に及んだ。
原処分庁は、まず、(1)X社はそもそも配当処分における配当権者となる事実が存在せず、異議申立人となり得ないため、処分の取消しを求める法律上の利益を有していないと指摘。
そして、(2)本件債権がA社に帰属するのか否かについては、(a)B社はA社に対して医薬品の発注をし、A社の従業員がX社を発行者とする納品書・請求書とともに納品したものであるから、本件債権はB社とA社との間で行われた取引に係るものであるし、(b)B社も取引の相手方は一貫してA社であると認識していたことから、本件債権はA社に帰属するものであると主張した。
審判所は、(1)X社が配当処分の審査請求人となり得るか否かについて、仮に本件債権がX社に帰属していたとすると、原処分庁はA社に帰属しない財産を換価して配当処分を行ったこととなるため、配当処分は違法であり、X社の基本的権利である財産権を直接的に侵害していると認定。
よってX社は配当処分により自己の財産を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがある者に当たるといえ、国税通則法75条1項における「不服がある者」に当たるとした。
その上で、(2)本件債権がA社に帰属するのか否かについては、(a)B社は本件オンラインシステムを使用し商品を発注したが、本件オンラインシステムは既にX社に移管されていたため、X社において受注をしたものと認められること、(b)X社は自己を発行者とする納品書とともにB社に納品し、請求書を発行していること、(c)X社は本件商品の販売代金をB社に対する売上高・売掛金として総勘定元帳に計上している一方で、A社の総勘定元帳には本件商品の販売代金の計上はなかったことから、B社はA社に対して商品を発注した認識であったが、実際にはその発注の申込みはX社において受注されており、売買契約はB社とX社の間で成立したと認められると判断。
本件債権はX社に帰属するから、配当処分は違法であるとして、原処分を全部取り消した。