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注目判決・裁決例(東京地裁平成30年3月13日判決)

2019年02月21日
評価通達による評価額を時価と認定、鑑定評価を斥ける
東京地裁平成30年3月13日判決
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相続した土地を、不動産鑑定士による鑑定評価額を基に評価し相続税の申告をしたところ、財産評価基本通達による評価額とかい離しているとして更正処分等を受けた。納税者側は、この土地が標準地に対してはるかに大きな超広大地であり、売買実例なども加味すると申告額が適正であると主張したが、裁判所もこの主張は認めなかった。
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被相続人甲の死亡により、相続人亡乙は甲所有のA土地、B土地を相続により取得した。
A土地は約7,700平米、B土地は6,800平米と極めて広大で、A土地は市街化調整区域内の宅地、B土地は市街化調整区域内の雑種地であった。
亡乙は、A・B土地の評価に当たり、不動産鑑定士に評価を依頼。その結果、A土地は4,000万円、B土地は3,000万円と査定された。亡乙はこの鑑定評価額を参考に、A土地を約2,500万円、B土地を2,700万円と評価して相続税の申告を行った。
平成26年5月、課税庁は、評価通達に定める評価方法に従い算定される評価額は、A土地が約5,600万円、B土地は約5,700万円であるとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
亡乙はこれを不服として提訴したものの、その後死亡。亡乙の相続人である妻のX1、長男のX2が訴訟を引き継いだ。

裁判でXらは、「法令の形による明確な国民の同意がないまま、評価通達に納税者への拘束力を認めることは、相続税法22条が認めておらず、納税者側が特別な事情を立証しない限り、評価通達に従った評価をしていないことをもって、納税者の申告内容に同条の時価に該当しない違法があると推認することは許されない」と、評価通達のみに基づく評価の違法性を指摘した上で、A・B土地はいずれも5,000平米を超え、標準地に対してはるかに大きな超広大地であり、規準とすることができる標準地が存在しないと主張。
これに対し国側は、評価通達に基づく相続税評価額を下回る不動産鑑定評価が存在し、その鑑定評価が相応に合理的なものであったとしても、それだけでは通達評価額が適正な時価を上回らないとの推認を覆すには足りないというべきと、Xらの主張を真っ向から否定。
また、不動産鑑定士が鑑定評価額を決定する場合、公示価格を規準としなければならないとされているにもかかわらず、本件においては公示価格を規準としておらず、その合理性も疑わしいと指摘。
加えて、鑑定評価が採用する4つの売買事例については、競売や売り急ぎの事例も含まれており、公示価格に比して著しく低廉であり、これも合理性に欠けるとした。
東京地裁は、まず、A・B土地の評価に関する評価通達の定めはいずれも合理的との判断を示した上で、亡乙の申告した評価額が時価の範囲内にないことを国側が主張するのであれば、評価通達から離れて別途主張立証しなければならないとするXらの主張については、評価通達に定められた評価方法を画一的に適用することによって、A・B土地の時価を超える評価額となる場合でない限り、評価通達の定める評価方法に従い算定された評価額は時価であると事実上推認することができるとした。評価通達に基づく課税庁の処分を適法と認め、Xらの請求を棄却した。