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注目判決・裁決例(千葉地裁平成30年2月13日判決)

2019年04月12日
精神障害者でも無申告加算税の「正当な理由」には該当せず
千葉地裁平成30年2月13日判決
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障害等級2級の精神障害がある納税者が、所得税の期限後申告をしたところ、無申告加算税の賦課処分を受けた。納税者は自らの障害が国税通則法66条1項ただし書に規定する「正当な理由」に該当するとして、処分の取消しを請求したが、裁判所にもこの主張は認められなかった。どのような事情があれば「正当な理由」と認められるのだろうか。
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Xは障害等級2級の精神障害者で、医師からは非定型精神病、身体合併症を痙性斜頸と診断されている。混雑した圧迫感のある場所に行くと頭が痛く発狂しそうになるという症状を持ち、月1回程度の通院を余儀なくされている。
Xは平成28年4月1日、千葉西税務署を訪れ、平成27年分の所得税等の期限後申告書を提出。同月4日には納付すべき税額486万1,600円、延滞税7,400円を支払った。
ところが税務署は、同年5月27日付で、Xに対し無申告加算税24万3,000円の賦課決定処分を行った。
Xはこの処分に対し、法定申告期限内に確定申告書を提出しなかったことについて、国税通則法66条1項ただし書にいう「正当な理由」があると反論し、処分の取消しを求めて提訴に至った。
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(無申告加算税)
第66条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該納税者に対し、当該各号に規定する申告、更正又は決定に基づき第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の15の割合(略)を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課する。ただし、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
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これについて千葉地裁は、Xが千葉県知事から障害等級2級の精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている事実を認めた上で、Xが平成28年4月1日に期限後申告をするまでの行動に着目した。
Xはまず、同年3月28日に税務署を訪れ、午後1時35分から2時まで税務署職員に所得税及び相続税の申告について相談。また、同月31日にも税務署を訪問し、午後2時50分から4時まで所得税の相談をしている。
さらに4月1日に税務署を訪れて期限後申告をしており、法定申告期限の直後に自ら3回にわたって税務署を訪れて納税相談を受け、申告をしていることからすると、障害の程度を考慮しても、税務署に出頭して法定申告期限内に確定申告書を提出することに支障を及ぼすほど重篤な状態にあったとは認めがたいと指摘。
したがって、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、無申告加算税を賦課することが不当又は酷になるとまでは認めることができないとして、課税処分は適法と判断した。