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注目判決・裁決例(東京高裁平成30年9月5日判決)

2019年04月24日
機械装置の設置のみでは「取得」とは認めず
東京高裁平成30年9月5日判決

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機械装置を設置した時点で取得とみなし、減価償却費を計上した納税者に対し、課税庁は機械装置の検収が翌事業年度であったとして、減価償却費の計上を否認。原審・東京地裁は、課税庁サイドに軍配を上げ、納税者の主張を斥けた。この判決を不服とした納税者は控訴したものの、東京高裁においても結論は変わらず、請求棄却となった。
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菓子製造業を営むX社(3月決算法人)は、平成24年8月、A社との間で「製品格納自動倉庫システム」の購入に関する請負契約を締結し、同年11月に設置工事を着工した。平成25年2月には工事が完了。X社はこの時点で機械装置を取得したと認識した。
X社は機械装置の試運転を開始したが、当初は不具合が生じ、平成25年5月に入ってようやく検収に着手、7月に残代金を支払った。
X社は、平成25年3月期に機械装置を取得したものとして、法人税法上の減価償却費の計上、準備金方式による特別償却の適用をしたほか、機械装置の支払対価の額に係る消費税の仕入税額控除を適用して確定申告を行った。ところが、豊橋税務署長は、X社が平成25年3月期に機械装置を取得していないとして、これらの処理を否認。法人税・消費税等の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

X社はこの処分を不服として提訴。X社は、減価償却資産の取得は私法上の所有権である必要はなく、使用収益権限を実質的に含んでいればよいと主張。機械装置を設置し、稼働をしたのは平成25年3月期であり、当然、減価償却費の計上も認められるとしたものの、一審・東京地裁平成30年3月6日判決はX社の請求を棄却した。

控訴審でX社は、平成25年3月31日以前に機械装置の所期の性能を確認済みであるから、「取得」していたと主張。
しかし、東京高裁は、A社との間の請負契約において、機械装置の機能が問題なく動作するかを確認した後に「検収」がなされ、検収と同時に引渡しがあったものとされていることに注目。
平成25年5月に入ってから機械装置の不具合の発生が少なくなり、同月27日を検収日とする検収書が作成されたことから、機械装置は同日に引き渡され、残代金が全額支払われた7月10日に所有権が移転したと判断。平成25年3月期に機械装置を取得したとは認められないとして、原審の判決を支持した。