青地部分は無道路地に準じて評価
東京地裁平成30年11月30日判決
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相続した土地の一部に、いわゆる「青地」(旧水路)が含まれていた。納税者は青地部分の地積を除いて評価したものの、課税庁側は否認。裁判で課税庁側は、青地は他の部分と一体利用されているので、無道路地の評価に準じ払下費用相当額を全体の評価額から控除するのが相当と主張、裁判所もこの主張を採用した。
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被相続人から複数の土地を相続したXらは、平成25年9月、相続税の申告を行った。その際、相続土地のうちいわゆる「青地」(かつて水路があった土地で、現在は埋め立てられ、宅地として一体利用されている土地)を含む土地については、全体を評価単位とし、1平方メートル当たりの価額を求めた上で、青地部分の地積を除いた地積を乗じて算出した額で申告をした。
武蔵野税務署長は、平成27年7月、上記青地の評価を含む複数の土地評価を否認。更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
Xらはこの処分を不服として提訴に及んだ。
裁判でXらは、青地部分(25平方メートル)は市の所有であることから、相続財産から除かれるべきであり、土地全体の評価額を算出した上で、青地面積と青地以外の面積の割合に応じて按分すべきであると主張。
これに対し課税庁側は、青地が他の部分と一体利用されていることを勘案し、青地も含めた全体でその土地の評価額を算出した上で、市の所有である青地部分の払下費用相当額を当該評価額から控除するのが相当であると主張した。なお、このような評価方法は、評価通達5に基づき、20-2(無道路地の評価。現行20-3)に準じたものであることを補足した。
東京地裁は、まず、本件土地には市が所有する青地が存在していたが、現在は埋め立てられ、相続開始時における本件土地の現況地目は、青地部分も含めて宅地となっていると認定。
その上で、このような青地が存在する場合の宅地の評価方法については評価通達に定めがないから、評価通達に定める評価方法に準じて評価することになると指摘した。
この点、課税庁側の主張する評価方法について、「青地が存在する宅地は、青地部分を含めて宅地として利用しようとする場合に、当該青地部分について払下費用相当額の負担が生ずることが想定されることから、無道路地における開設通路部分の価額の控除と同様に上記相当額を控除するというものであり、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであると認められる」とした。
さらに、土地全体の評価額を算出した上で青地面積と青地以外の面積の割合に応じて按分するとするXらの主張については、「青地部分の評価額が青地以外の評価額と同等になるとは認められず、このような評価方法によると、青地以外の評価額が本来の評価額より低い金額となることが容易に想定でき、相当とは認められない」として斥けた。