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注目判決・裁決例(東京地裁平成31年1月18日判決)

2020年02月21日
携帯電話通信用鉄塔等は線路設備には該当せず(KDDI事件)
東京地裁平成31年1月18日判決

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大手通信会社のKDDIが携帯電話通信用の鉄塔等の耐用年数を21年として減価償却していたところ、40年ないし42年と否認された。KDDI側は、鉄塔等は「電気通信事業用のもの」の「その他の線路設備」と主張したが、課税庁側は「放送用又は無線通信用のもの」の「鉄塔及び鉄柱-その他のもの」及び「鉄筋コンクリート柱」と主張し、真っ向から対立。東京地裁は、課税庁側の主張に軍配を上げ、KDDI側の敗訴となった。
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原告は、携帯電話通信の用に供する鉄塔、鉄柱及び鉄筋コンクリート柱の耐用年数について、耐用年数省令別表第一(機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表)の「構築物」-「電気通信事業用のもの」-「その他の線路設備」の「21年」を適用して減価償却していた。
ところが、平成25年7月の東京国税局による税務調査の結果、平成26年6月、上記処理について更正処分等を受けた。

裁判で課税庁側は、上記資産のうち鉄塔及び鉄柱の耐用年数は「構築物」-「放送用又は無線通信用のもの」-「鉄塔及び鉄柱」-「その他のもの」の40年、また鉄筋コンクリート柱の耐用年数は「鉄筋コンクリート柱」の42年と主張。
原告が主張する「その他の線路設備」に該当するかについて課税庁側は、電気通信事業会計規則等において「線路設備」とは、加入者宅や通信センタ間等を相互に結ぶ通信ケーブル及びその支持物並びにこれらに附帯する設備と定義しているとした上で、アンテナと無線通信用の送受信機等を結ぶ同軸ケーブルを固定するための本件鉄塔等は、基地局にてアンテナを高所で指示するための構築物であって、上記定義に該当しないから、「その他の線路設備」には該当しないとした。

これに対し原告は、電気通信事業会計規則における「線路設備」には、加入者線路又は市内中継線路を構成するか否かを問わず、「ケーブルの支持物」又は「ケーブルの附帯物」が含まれることは明らかとした上で、携帯電話通信に用いられている鉄塔等は、アンテナを上部に設置するのみならず、同軸ケーブルを無線設備からアンテナに接続するために支持するという機能を有しており、それゆえ鉄塔等は「ケーブルの支持物」又は少なくとも「ケーブルの附帯物」に該当するため、「その他の線路設備」に該当すると反論した。

東京地裁は、「線路設備」とはケーブル及びその支持物並びにこれらに附帯する設備のうち市内線路及び市外線路の区分が存在するところの線路を構成するものをいうと解することが自然であるところ、この点を看過して、ケーブル及びその支持物並びにこれらに附帯する設備であれば、それが市内線路又は市外線路を構成するか否かを問わず「線路設備」に該当する旨の原告の主張は、電気通信事業会計規則の文言を過度に形式的に解釈するものであって、採用することができないと指摘。同軸ケーブルもそれを固定する本件鉄塔等も「線路設備」には該当しないと判断し、原告の請求を斥けた。