11月21日、第27回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会が開催され、同一労働同一賃金ガイドライン見直し案が示されました。
本ガイドラインの見直しに関する論点ついては、第23回(令和7年8月8日開催)にて、次のような案が示されていました。
【同一労働同一賃金ガイドライン関係】
A 裁判例を踏まえたガイドラインの見直し
・現行のガイドラインに記載がない待遇に関する記載のガイドラインへの追加
・現行のガイドラインに記載がある待遇に関する記載のガイドラインへの追加
B いわゆる「正社員人材確保論」
C 下級審判決において争われた待遇のうち、高裁で判断が示されており、かつ、最高裁が判断を示さなかったもので、現行のガイドラインに記載がない待遇に関する記載のガイドラインへの追加
D 通常の労働者の待遇引下げによる待遇の相違の解消
E 「その他の事情」の明確化
F 多様な正社員および無期雇用フルタイム労働者にもガイドラインの考え方を波及させていくことについて
G その他(ガイドラインの趣旨の明確化や記載のわかりやすさに関する見直し)
上記を受けて、見直し案では主に次の箇所に追記等がされています。ここでは、主なものを紹介します。
第1 目的 ← 上記Gに関する内容の追記
第2 基本的な考え方 ← 上記Gに関する内容の追記
(1) 雇用管理区分が複数ある場合及び職務の内容等を分離した場合の取扱い
(2) 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に賃金その他の待遇の決定基準・ルールの相違がある場合等の取扱い ← 上記Gに関する内容の追記
(3) 不合理と認められる待遇の相違の解消等に当たり、就業規則の変更により労働条件を変更する場合の留意事項
(4) その他
第3 短時間・有期雇用労働者 ← 上記Aに関する内容の追記(ハマキョウレックス事件最高裁判決)
(注)1 ← 上記Eに関する内容の追記
(注)2 ← 上記Bに関する内容の追記
1 基本給
2 賞与
(注) ← 上記Aに関する内容の追記(長澤運輸事件最高裁判決)
3 退職手当 ← 上記Aに関する内容の追記(メトロコマース事件最高裁判決)
4 各種手当(退職手当を除く。)
(1)役職手当であって、役職の内容に対して支給するもの
(2)業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当
(3)交替制勤務等の勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当
(4)精皆勤手当
(5)時間外労働に対して支給される手当
(6)深夜労働又は休日労働に対して支給される手当
(7)無事故手当 ← 上記Aに関する内容の追記(ハマキョウレックス事件最高裁判決)
(8)通勤手当及び出張旅費
(9)家族手当 ← 上記Aに関する内容の追記(日本郵便(大阪)事件最高裁判決)
(10)住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの ← 上記Aに関する内容の追記(ハマキョウレックス事件最高裁判決等)
(11)労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給される食事手当
(12)単身赴任手当
(13)特定の地域で働く労働者に対する補償として支給される地域手当
5 福利厚生
(1)福利厚生施設
(2)転勤者用社宅
(3)慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び当該健康診断を勤務時間中に受診する場合の当該受診時間に係る給与の保障
(4)病気休職(療養への専念を目的として付与する病気休暇を含む。以下この(4)において同じ。)← 上記Aに関する内容の追記(日本郵便(東京)事件最高裁判決)
(5)夏季冬季休暇 ← 上記Aに関する内容の追記(日本郵便(佐賀)事件最高裁判決)
(6) 法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇、療養への専念を目的として付与する病気休暇及び夏季冬季休暇を除く。)であって、勤続期間に応じて取得を認めているもの
(7) 褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するもの ← 上記Aに関する内容の追記(メトロコマース事件最高裁判決)
6 その他
第4 派遣労働者 ← 短時間・有期雇用労働者と同趣旨の追記
(注)1 ← 上記Eに関する内容の追記
(注)2 ← 上記Bに関する内容の追記
1 基本給
2 賞与
(注) ← 短時間・有期雇用労働者と同趣旨の追記
3 退職手当 ← 短時間・有期雇用労働者と同趣旨の追記
4 各種手当(退職手当を除く。)
(1)役職手当であって、役職の内容に対して支給するもの
(2)業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当
(3)交替制勤務等の勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当
(4)精皆勤手当
(5)時間外労働に対して支給される手当
労働施策総合推進法等の改正法案が成立しました
6月4日、参議院本会議で、カスハラ対策等を企業に義務付ける労働施策総合推進法等の改正法案が可決、成立しました。
本案は、5月16日の衆議院厚生労働委員会にて修正案が提出され、修正の上成立しており、厚生労働省ホームページには修正案に関する情報も掲載されています。
主な修正内容は、次の下線箇所です。
【修正前】
(職場における顧客等の言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第33条 事業主は、職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者(次条第5項において「顧客等」という。)の言動であつて、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2~5 〔略〕
(職場における顧客等の言動に起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務)
第34条 国は、労働者の就業環境を害する前条第1項に規定する言動を行つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「顧客等言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深るため、各事業分野の特性を踏まえつつ、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2~5 〔略〕
【修正後】
(職場における顧客等の言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第33条 事業主は、職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者(次条第5項において「顧客等」という。)の言動であつて、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの(以下この項及び次条第一項において「顧客等言動」という。)により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、労働者の就業環境を害する当該顧客等言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2~5 〔略〕
(職場における顧客等の言動に起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務)
第34条 国は、労働者の就業環境を害する顧客等言動を行つてはならないことその他当該顧客等言動に起因する問題(以下この条において「顧客等言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深るため、各事業分野の特性を踏まえつつ、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2~5 〔略〕
また、附則には下記が追加されています。
第8条の2 政府は、特定受託事業者(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)第2条第1項に規定する特定受託事業者をいう。以下この条において同じ。)が受けた業務委託(同法第2条第3項に規定する業務委託をいう。)に係る業務において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該業務に関係を有する者の言動であって、当該特定受託事業者に係る特定受託業務従事者(同条第2項に規定する特定受託業務従事者をいう。以下この条において同じ。)が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を
超えたものにより当該特定受託業務従事者の就業環境が害されることのないようにするための施策について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
3月11日、政府は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出されました。
概要として、次のような内容が示されています。
●改正の趣旨
→ 多様な労働者が活躍できる就業環境の整備を図るため、ハラスメント対策の強化、女性活躍推進法の有効期限の延長を含む女性活躍の推進、治療と仕事の両立支援の推進等の措置を講ずる
●改正の概要
1 ハラスメント対策の強化【労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法】
(1)カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付ける等
(2)求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付ける等
(3)職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて啓発活動を行う国の責務
2 女性活躍の推進【女性活躍推進法】
(1)男女間賃金差異および女性管理職比率の情報公表の対象事業主の拡大
(2)女性活躍推進法の有効期限延長
(3)女性活躍推進にあたり留意すべき事項への「女性の健康上の特性」の追加
(4)政府が策定する女性活躍推進に関する基本方針の記載事項の一つにハラスメント対策を位置付け
(5)プラチナえるぼしの認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることを追加
(6)特定事業主行動計画に係る手続の効率化
3 治療と仕事の両立支援の推進【労働施策総合推進法】
→ 事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課す等
●施行期日
公布の日から起算して1年6月以内で政令で定める日
ただし、
1(3)および2(2)から(4)まで:公布日
2(1)および(6)ならびに3:令和8年4月1日
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
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