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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成29年8月21日裁決)

2018年04月02日
土地の売却は仮装ではないが、時価と売却価額との差額は寄附金と認定
平成29年8月21日裁決
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土地がA社からB社に売却され、その直後に個人Cに転売されたケースについて、国税当局は「A社からB社への売却は仮装取引」として否認。国税不服審判所は、「B社への売却は有効に成立しており、仮装ではない」としたものの、売却金額と時価との差額は寄附金に該当すると判断した。
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請求人であるA社は建築・設計・不動産売買を営む法人。平成25年6月に、A社は不動産売買・仲介業のB社へある土地を250万円で売却。その3か月後の同年9月、B社はその土地を一般個人であるCに約1,152万円で売却した。なお、B社の取締役は、同社の土地売買についてはA社の実質経営者であるDにすべて任せていると申述しており、このケースでも売却代金等を決定したのはDだとしている。
 A社は、平成25年10月期の決算で250万円を総勘定元帳の「土地売上勘定」に計上し、益金算入するとともに、本件土地に係る売上原価約804万円を「仕入高土地勘定」に計上、損金の額に算入して確定申告を行った。
 原処分庁は平成28年7月、「A社からB社への土地取引は仮装であり、A社からCに直接売却されたものと認められる」として、A社の申告を否認。更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行った。

 原処分庁は、処分の理由として、①B社の土地取引がA社の実質経営者Dにすべて任されていたこと、②Cの妻がB社の担当者には会ったことがないと申述していること、③A社からCまでの一連の土地取引の登記移転手続が同一の司法書士により行われていることなどを挙げた。

これに対して審判所は、Cは土地の売買契約の相手方をB社と認識しており、代金もB社に支払っていることから、A社からB社へ、B社からCへの土地取引は有効に成立していると指摘。この点は、原処分庁の主張に理由がないと判断した。
ただし、A社からB社への売却時の本件土地の時価は、本件土地の固定資産税評価額を0.7で除した価額(約1,068万円)であり、売却金額250万円との差額約818万円を益金の額に算入すべきと認定。さらに、差額の約818万円は法人税法37条1項の「寄附金」に該当するとして、寄附金の損金算入額を超える金額は損金不算入となると判断した。
また、本事案では重加算税の賦課要件である「隠ぺい・仮装」があったかどうかも争われたが、上記のとおり土地取引は有効に成立していたと認められるため、A社による事実のわい曲行為はなく、また、事実の隠匿あるいは脱漏も認められないとした。
関連サイト http://www.kfs.go.jp/service/JP/108/07/index.html