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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成29年9月1日裁決)

2018年04月23日
修正申告書が先か、国外財産調書が先かで取扱いに差
平成29年9月1日裁決
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国外財産から生じた所得を自主的に修正申告し、その後に国外財産調書を提出した納税者に対し、国税当局は「過少申告加算税の加重措置がある」として加算税の賦課決定処分を行った。納税者は、「自主的に申し出た場合は加算税の賦課はない」として審査請求に及んだ。
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「国外財産調書制度」は、国外財産の保有者に保有国外財産について申告を義務付ける制度として、平成24年度の税制改正により導入され、平成26年1月から施行されている。

納税者Xは、平成26年分の当初の確定申告では国外財産調書を提出していなかった。申告後に国外財産からの所得の申告漏れに気づき、平成27年8月31日、国外で生じた預金利子と株式貸付料を自主的に修正申告。さらに2週間後の9月14日、上記所得の基因となった国外財産に係る国外財産調書を提出した。
原処分庁はこれを受けて、国外財産調書について規定する「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」(以下「国外送金等調書法」という)6条の規定(加算税の特例措置)を適用した過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

国外財産調書制度では、期限内の提出を促すための措置として、(1)国外財産調書を期限内に申告した場合には、記載されている国外財産に関する所得税・相続税に申告漏れがあっても、過少申告加算税等を5%減額する、(2)逆に国外財産調書を期限内に提出していない、又は記載すべき国外財産を記載していない場合には、その国外財産に関する所得税の申告漏れが生じたときは、過少申告加算税等を5%加算するという仕組みが用意されている。今回のケースでは、上記(2)に該当するため、原処分庁は過少申告加算税の加重措置ありとして処分したのだが、一方で更正を予知したものでない、自主的な修正申告の場合は過少申告加算税を課さないとの規定(国税通則法65条5項)があるため、両規定の適用関係が争点となった。

国税不服審判所は、国外送金等調書法6条の規定は「国税通則法65条の規定の適用がある場合」としており、自主的修正申告を規定する65条5項も含んでいることからすれば、加重措置の適用はあると判断。
また、「提出期限後に国外財産調書が提出され、かつ、修正申告書が提出された場合、その期限後提出が更正を予知したものでない場合は、期限内に提出したものとみなす」との国外送金等調書法6条4項の規定により、本件の場合も期限内提出になるとのXの主張に対しては、この規定は、(1)まず国外財産調書を提出し、(2)その後に修正申告書が提出された場合に初めて規定の適用の可否を決するものと指摘。本件の場合はこの順序が逆のため、この規定の適用はないと判断し、Xの主張を斥けた。