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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成29年8月7日裁決)

2018年06月11日
商品券の販売は「物品切手の譲渡」に該当するか
平成29年8月7日裁決
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商品券の販売による収益は、消費税の課税売上高の計算上、「資産の譲渡等の対価」に含めるべきか否かが争われた審査請求事例で、原処分庁の主張どおり資産の譲渡等の対価に含めるべきと判断された。今回、判断の分岐点となったのは、「商品券を自社で発行していたか否か」だ。
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請求人X社は、カード会社であるL社が作成した商品券を顧客に販売し、自社商品と商品券の引換えを行っていた。X社は、この商品券の販売高を資産の譲渡等の対価に含めずに消費税等の確定申告を行ったが、原処分庁は、「商品券の販売高を資産の譲渡等の対価の額に含めて算出した課税売上割合に基づき、課税標準額に対する課税仕入額を計算すべき」として更正処分等を行った。

消費税法別表第一の4号ハに規定する「物品切手(商品券その他名称のいかんを問わず、物品の給付請求権を表彰する証書)」の譲渡は非課税とされているが、消費税法基本通達6-4-5は、「事業者が物品切手を発行し、交付した場合において、その交付に係る相手先から収受する金品は、資産の譲渡に該当しない」と定めている。つまり、商品券の発行主体であれば、その販売金額を資産の譲渡等の対価に含める必要はないということとなる。

審査請求で原処分庁は、(1)商品券の裏面に発行元がL社である旨の記載があり、L社もそのように認識していること、(2)L社が作成・発行した商品券を券面金額でX社に販売、X社が顧客に再販売するという契約内容となっており、L社が販売した時点で財貨が移転(つまり商品券の流通が開始)したと認められること、(3)仮にX社が商品券と商品の引換えができなくなった場合には、L社がその責任を負うこと――等から、商品券の発行者はL社であり、X社はその商品券を購入して顧客に販売していたものと認められ、通達6-4-5の適用はないと主張した。

これに対しX社は、(1)本件商品券はX社の店舗以外では使用できないから、資金決済法上の「自家型前払式支払手段」に該当すること、(2)国税庁質疑応答「商品券の売上げに係る売上げの計上時期」には、「流通している商品券等」の販売は非課税資産の譲渡である旨記載されているが、本件商品券はX社から顧客に交付されて初めて「流通が開始された」状態になるから、L社からX社に交付された時点では権利が付与されていない印刷物にすぎず、財貨が移転したとはいえないこと――等から、商品券の発行者はX社であると反論した。

これについて審判所は、(A)X社は資金決済法上の自家型発行者の届出書の提出や発行保証金の供託を行っておらず、また商品券に関して法人税基本通達2-1-39(商品引換券等の発行に係る収益の帰属の時期)に定める税務取扱いに沿った所得金額の計算も行っていなかったこと(これらの手続きはすべてL社が行っていた)、(B)L社が発行し、X社が顧客に再販売するものとする、あるいはX社が代金を支払うまでの間、商品券の所有権はL社に留保するなどの契約内容となっていたことを指摘。
これらを総合的に判断すると、L社が商品券の発行主体であり、X社が行った商品券の顧客への販売は物品切手の譲渡に該当すると結論付け、原処分庁の処分は一部を除いて適法と判断した。