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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成30年1月11日裁決)

2018年10月17日
第二次納税義務の対象か否かで当局の処分を全部取消し
平成30年1月11日裁決
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離婚に伴い妻に引き渡された預金等は「財産分与」か、あるいは「無償による財産の譲渡」であり第二次納税義務の対象になるか否かが争われた事例で、国税不服審判所は、離婚協議で作成された合意書等の状況を踏まえると財産分与により妻に譲渡されたものと認められるとして、原処分庁の告知処分を全部取り消した。
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実家が製造業を営む請求人Xの夫のAは、結婚と同時に、Xの父母とも養子縁組し、X家に婿入りをした。子供も3人もうけ、平和な結婚生活を送っていたものの、ある時から関係が悪化し、平成27年1月に離婚及び養子離縁に至った。
XとAは離婚に関する合意書を交わし、Aに300万円を渡す代わりに、A名義の複数の預貯金や生命保険契約等の解約返戻金債権をXに引き継いだ。
ところで、Aは従来から国税を滞納しており、納付の見込みはなかった。そのため原処分庁は、国税徴収法39条の規定に該当する事実があるとして、平成28年2月26日付の納付通知書により、Xに対して第二次納税義務の納付告知処分を行った。
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(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第39条 滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の1年前の日以後に、滞納者がその財産につき行った政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免かれた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他滞納者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)で政令で定めるもの(第58条第1項(第三者が占有する動産等の差押手続)及び第142条第2項第2号(捜索の権限及び方法)において「親族その他の特殊関係者」という。)であるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
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Xはこの処分を不服として審査請求。Xは、離婚に伴う預貯金等の引継ぎは、あくまで財産分与であり、無償による財産の譲渡ではないと主張した。
これに対し原処分庁は、(1)Xは家業を継続するための必要性から各預貯金等を引き継いだのであり、これは財産分与ではなく無償譲渡である、(2)Aは離婚当時の各預貯金口座の残高や各返戻金の額を把握しておらず、財産分与の話ができる状態ではなかった、(3)合意書には財産分与に関する記載がない、(4)離婚に際して、十分な話合いやお互いの了解もない状態で一方的に財産を自己のものとするような行為は財産分与とはいえない――などと反論した。

これについて審判所は、(a)XとAの間で、事業の引継ぎに伴い預貯金等を譲渡したことを示す書面は見当たらず、無償による譲渡をしたと認められる証拠はない、(b)Aは共同形成財産のうち300万円を受け取り、その余は放棄する旨の財産分与の協議が成立したと解するのが相当である、とした上で、この財産分与が不相当に過大か否かについては、清算的要素、慰謝料的要素、扶養的要素に照らして、Xが取得した財産の価額は、民法768条の趣旨に反して不相当に過大ではないため、本件離婚に伴う財産分与について、国税徴収法39条に規定する無償による譲渡があったとは認められないと判断。原処分を全部取り消した。
 参考事例 http://www.horei.co.jp/zjs/information/detail.html?t=Topics&id=2500