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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成30年5月10日裁決)

2018年12月27日
休眠会社の預金口座に入金された金員の帰属は?
平成30年5月10日裁決
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休業中の会社の預金口座に入金された金は、その会社の代表者が経営する他の会社の収益となるのか否かが争われた審査請求事案で、国税不服審判所は、休業中の会社の事業に係る収入金額とみることができると判断。原処分庁の処分を概ね取り消した。
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X社はシステム開発等を目的とする法人で、代表者の甲が経営する関連会社・K社(運送業)と同じ場所に本社事務所を置いていた。
K社では平成20年秋頃、甲の体調不良が原因で傭車料の支払遅延の噂が広がり、従業員が次々と辞めていったことから、事実上の倒産状態に陥る。法人税・消費税の申告も平成20年8月期を最後に行われなくなり、休眠状態となった。
一方でX社はその後も通常通り営業し、法人税等の申告もしていたが、平成27年に税務調査が入り、「K社の複数の預金口座に、K社休業後も入金がある。これはX社の収益となる」旨の指摘を受けた。そこでX社は、平成20年11月期~平成23年11月期の修正申告書を提出した。
しかしその後、X社は「K社預金口座に入金された金員はX社に帰属するものではない」として、平成28年8月に、平成20年11月期~平成22年11月期までの法人税等については「更正の申出」を、平成23年11月期の法人税等については「更正の請求」を行ったものの、原処分庁は平成29年2月、更正の申出については「更正の申出に対する結果のお知らせ」を送達するとともに、更正の請求については「更正をすべき理由がない旨の通知処分」をした。
X社は上記の「お知らせ」及び通知処分の取消しを求めて、審査請求に及んだ。

審判所は事案の判断に先立って、上記「お知らせ」の取消しは審査請求ではできないことを明らかにした。
平成23年12月の税制改正で、更正の請求をできる期間が1年から5年に改正された。この改正は平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税から適用となっていたが、その前年までは運用上、更正の申出ができることとされていた。
しかし、更正の申出の手続は、国税通則法23条に基づく更正の請求とは異なり、法令上の根拠に基づくものではないから、更正の申出に対する結果のお知らせは、単に納税者からの減額更正を求める申出を契機として、税務署長が当該納税者の納税申告書に記載された課税標準等又は税額等を更正する理由がない旨を知らせるものにすぎない。したがって、本件各お知らせは、国税通則法75条1項に規定する「国税に関する法律に基づく処分」に該当しないから、本件各お知らせの取消しを求める部分の審査請求はいずれも不適法である、と指摘した。

その上で、K社の口座に入金された金員がX社に帰属するものか否かについて検討した。
原処分庁は、K社は平成20年9月以後運送事業を休業しているから、K社名義の口座への同年10月以降の入金額はX社に帰属する旨主張する。
しかしながら、K社は、少なくとも平成21年3月頃までは運送事業を行っていたとみることができる一方、X社が運送事業を行うのに必要な許可を受けたのは平成25年9月であり、本件口座に入金があった頃にX社が運送事業を行っていたと認めることはできないと認定。本件口座への運送事業の入金、保険会社からの振込み、自動車販売業者からの振込みは、K社が休業となる以前の運送事業に係る収入金額とみるのが相当であり、したがって、本件口座への入金額は、X社に帰属しないと判断した。