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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成30年6月19日裁決)

2019年02月06日
太陽光発電設備は売電が可能となった時から事業供用と判断
平成30年6月19日裁決
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太陽光発電事業に進出した事業者が、発電システムとそれを囲むフェンス等の設置工事、電力会社に売電するための系統連系のための工事をし、売電事業を開始した。ところが、発電システム・フェンス等の工事完了時期と系統連系工事の完了時期が期をまたいでしまったため、減価償却費の計上時期をめぐり、当局と争いとなった。国税不服審判所は、それぞれの設備の本来の目的がいつ達成したのかにより、事業供用時期が決まると判断した。
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貨物自動車運送業を営むX社は、太陽光発電及び売電事業に進出することを決定。平成27年8月に、発電のための設備の工事契約を締結した。
工事を開始した設備は、(1)太陽光電池モジュール群、パワーコンディショナー、キュービクル受変電設備を電線ケーブルで連結した発電システム本体、(2)発電所を囲むフェンス及び門扉、(3)電力会社の電力系統に接続する系統連系のための工事の3種類から成っていた。
上記設備のうち(1)及び(2)は、平成28年3月28日に完成。X社は、発電所設備全体を「生産性向上設備投資促進税制」(旧措法42の12の5)の対象設備として特例を適用、普通償却限度額及び特別償却限度額を損金算入し、平成28年3月期の法人税の確定申告を行った。
上記設備のうち(3)は、平成28年9月28日に完成し、X社は売電を開始した。その後の税務調査で、上記(1)、(2)の設備は平成28年3月期に事業の用に供されていないとして否認を受け、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分が行われた。

審査請求における争点は、上記(1)、(2)の設備は本件事業年度内に事業の用に供したと認められるか否か。
原処分庁は、まず(1)については系統連系が完了し、売電を開始した平成28年9月28日に事業の用に供したと認められ、(2)についても単独では生産性向上設備とは認められないから、(1)と一体として事業の用に供したものとみるのが相当と主張した。
これに対しX社は、賃貸マンションの場合は建物が完成し現実の入居者がなくても、事業の用に供したものと認めていると指摘。太陽光発電設備も、発電を開始し売電の申込みをしていれば事業の用に供したものと認められると主張した。
また、(2)については隣地との境界を画するとともに発電所に対する不法侵入等を防いで財産的価値を維持するために設置されたものであるから、本来の目的のために使用を開始したものと認められると主張。

これについて審判所は、(1)の設備は発電した電力を売電することにより収益を稼得することが本来の目的であると指摘。(3)の工事が完了しなければ物理的に発電した電力を送配電事業者の電力系統に供給することができず、収益を上げることができないため、平成28年9月28日までは本来の目的のために使用を開始したとはいえず、事業の用に供したとは認められないと判断、原処分庁の主張を支持した。
次に(2)のフェンス等については、引渡しを受けてから売電を開始するまでの間も、発電システム本体への接触による感電等の事故、盗難や毀損を避ける必要性があり、(2)はその目的に沿った機能を発揮していたと認められるとした。加えて(2)は(1)とは別個の減価償却資産として生産性向上設備の認定を受けているのであるから、平成28年3月期に事業供用されたものと認められるとしてX社の主張を認め、処分の一部を取り消した。