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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成30年8月23日裁決)

2019年04月08日
転リースも売買取引と認められ、結果的に全部取消し
平成30年8月23日裁決
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リースで設備を取得し、さらにその設備を別法人に転貸していた法人が、そのリース取引について「賃貸借取引」として経理処理をしていたところ、原処分庁から「賃借は売買取引、転貸は賃貸借取引」として否認を受けた。争いは国税不服審判所に持ち込まれたが、審判所は「賃借も転貸も売買取引」とした上で、延払基準の方法により収益・費用の額を計算するのが相当と判断。結果的に処分は全部取消しとなった。
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不動産管理業等を営むX社は平成23年9月、N社との間で以下のリース契約を締結した。
(1) N社はX社に対し、空調設備及び照明設備計1,100点超を対象資産として賃貸する。
(2) リース期間は15年。
(3) リース料は、初めの5年間は月220万円、その後の10年間は年1万2,000円。
(4) リース期間内の解約は不可。
(5) リース期間満了時にX社に無償譲渡。
(6) リース資産の維持費はX社が負担。
(7) リース資産の滅失・毀損リスクはX社が負担。
さらにX社は同年12月、グループ会社であるM社との間でこのリース資産を転リースする旨の契約書を交わした。M社との間の契約は、N社との契約とほぼ同様である。
X社は本件リース取引を「賃貸借取引」としてリース料勘定に計上。毎期2,640万円を損金の額に算入した。また、本件転リースに関してはその他売上勘定に計上し、毎期3,168万円を益金の額に算入した。
これに対し原処分庁は、本件リース取引が法人税法64条の2第3項に規定する「売買取引とされるリース取引」に該当するとして、X社の申告を否認。法人税、消費税等の更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分を行ったため、X社はこれを不服として審査請求を行った。

原処分庁は、本件リース取引が中途解約禁止要件、フルペイアウト要件(借手がリース資産から生ずる経済的利益を享受することができ、かつ、その経費を実質的に負担すること)を充足するから、法人税法64条の2第3項のリース取引に該当すると主張。これに対しX社は、本件リース取引はフルペイアウト要件を充足していないなどと反論した。

これについて審判所は、本件リース取引は、資産の賃貸借であり、中途解約禁止要件及びフルペイアウト要件のいずれの要件にも該当するから、法人税法64条の2第3項のリース取引に該当すると認めた。
その上で、課税処分の適法性に関する検討として、本件転リース取引に着目。本件転リース契約は本件リース契約とほぼ同内容だから、本件転リース取引も法人税法64条の2第3項のリース取引に該当するとした。
つまり、X社は、N社から本件リース資産の引渡しを受けた平成24年1月に、本件リース資産を売買により取得し、さらに、M社に本件リース資産を引き渡した日に、本件リース資産を売買により譲渡したものとして所得の金額を計算することとなると指摘した。
さらに、X社からM社への本件転リース取引に係る収益の額及び費用の額は、延払基準の方法により計算した収益の額及び費用の額とし、本件各事業年度の課税所得を計算することとなるとした。これらを前提に、X社の本件各事業年度の所得金額及び納付すべき税額を計算すると、いずれも確定申告額を下回るから、原処分庁の処分はいずれも違法であり、その全部を取り消すべきと判断した。