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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成30年10月1日裁決)

2019年07月11日
国債購入時のキャッシュバックは一時所得か雑所得か
平成30年10月1日裁決
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国債購入キャンペーンによるキャッシュバックで受領した現金は、一時所得か雑所得かが争われた。納税者は、この現金が「労務その他の役務」でも「資産の譲渡」でもないため、一時所得に該当すると主張したが、国側はこのようなケースも「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質」を有する場合に該当すると反論。審判所は、国側の主張を支持した。
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納税者Xは平成28年、A証券会社から国債を3,000万円購入した。
A証券ではこの時期、個人向け国債を購入した顧客に対して現金をプレゼントするキャッシュバック・キャンペーンを実施しており、Xは15万円を受領した。
Xは平成28年分の所得税確定申告で、この収入15万円を一時所得(所得金額0円)として申告したところ、平成29年9月、原処分庁から「本件収入は雑所得に該当する」として更正処分を受けた。
Xはこれを不服として審査請求。本件収入は一時所得か雑所得かが争点となった。

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 (一時所得)
第34条 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。(以下略)
(雑所得)
第35条 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。(以下略)
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Xは、「国債の購入という行為は、代金を支払って、国債を譲り受ける行為であって、資産の譲受けであり、所得税法34条1項の「労務その他の役務」にも「資産の譲渡」にも該当しない」と指摘。
また、本件収入は、A証券の一方的な方針に基づいてその都度決められるものであって、対価としての性質を有しないとも主張した。
一方の原処分庁は、「所得税法34条1項に規定する「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質」を有する場合とは、広く給付が抽象的、一般的な役務行為に密接・関連してされる場合をも含むものと解される」と主張。
本件収入は、キャンペーンの対象となる国債を購入した者に対して交付されるものであり、国債の購入という行為に密接に関連したものである。したがって、本件収入は「労務その他の役務の対価」としての性質を有しているものと認められ、一時所得には該当せず雑所得に該当するとした。

これに対して国税不服審判所は、まず、本件キャンペーンについて、A証券が個人向け国債を購入した者に対して、その購入額の多寡に応じて、一定の要件を満たす者に現金をプレゼントするというものであるから、本件収入は、偶発的に発生したものではなく、Xが一定の期間に個人向け国債を購入し、本件キャンペーンの景品として交付される金員が入金されるまでA証券に開設した口座を維持することなど、本件キャンペーンが適用される要件を満たした結果、交付されたものであると指摘。
そうすると、本件収入と要件を満たす行為は密接に関連していると認めるのが相当であり、本件収入は、「役務の対価」としての性質を有するものと認められるとした。
したがって、本件収入に係る所得は、所得税法34条1項に規定する「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」には該当しないから、本件収入に係る所得は一時所得に該当せず、雑所得に該当すると判断。 更正処分は適法と結論付けた。