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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成30年11月19日裁決)

2019年08月09日
排水路の土地は雑種地で近隣の純山林に比準して評価
平成30年11月19日裁決
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急傾斜地崩壊防止施設及びその排水路の敷地の用に供されていた土地を相続した請求人は、排水路部分の土地について価額0円と評価し、申告した。原処分庁は、隣接する宅地の価額に準じて評価するべきと主張。これについて審判所は、近隣の純山林の価額に比準して評価するのが相当として、双方の主張を不採用とした。
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被相続人甲は平成27年6月に死亡。相続人であるX(甲の子)は、遺産分割協議をし、自宅や物置等の敷地である土地A(本件自宅土地)、これに隣接する土地B(本件施設土地)、土地C(本件排水路土地)など、複数の土地を取得した。
土地Bは、被相続人と県との間で締結された契約に基づき、県が設置した急傾斜地崩壊防止施設(格子状のコンクリート製構築物)の敷地の用に供されていた。また土地Cは、被相続人と県、町の間で締結された契約に基づき、急傾斜地崩壊防止施設からの排水を公共用水路に流出するための排水路の敷地の用に供されていた。
※本件自宅土地(土地A)、本件施設土地(土地B)及び本件排水路土地(土地C)の形状等
http://www.kfs.go.jp/service/JP/113/13/betuzu1.html
Xは、相続税申告の際、土地Bの価額を近隣の純山林の価額に比準して評価し、土地Cの価額を0円と評価、申告した。
これに対し原処分庁は、相続税に係る調査を実施のうえ、平成29年12月、土地Cについては財産評価基本通達24(私道の用に供されている宅地の評価)に準じて100分の30に相当する価額によって評価すべきであるとして、他の土地とあわせて更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。Xは処分を不服とし、平成30年1月、審査請求をした。

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(私道の用に供されている宅地の評価)
24 私道の用に供されている宅地の価額は、11≪評価の方式≫から21-2≪倍率方式による評価≫までの定めにより計算した価額の100分の30に相当する価額によって評価する。この場合において、その私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しない。
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Xは、土地Cは特定の者の利益のためのものではなく、背後の急傾斜地崩壊防止施設にまつわる公共の用に供されるものであること等を理由に、評価通達24の後段に準じて、価額を評価しないこととすべきと主張した。
一方の原処分庁は、土地Cの使用収益にある程度の制約はあるものの、私有物として第三者への処分等は禁止されていないこと等を理由に、評価通達24の前段に準じて、隣接する宅地の100分の30に相当する価額によって評価すべきと主張した。

審判所は、土地Bと土地Cの地目はいずれも雑種地であると認められるところ、その利用目的等からすれば、評価通達7-2(評価単位)の(7)に定める「利用の単位となっている一団の雑種地」に該当するため、土地Cは土地Bを一の評価単位として、評価通達82(雑種地の評価)に定める評価方法により評価することになると指摘。
評価単位の大部分を占める土地Bが傾斜度30度以上の急傾斜地であることを考慮すれば、評価通達82に定める「状況が類似する付近の土地」は山林と判断するのが相当であるところ、土地B及び土地Cは、評価通達49(市街地山林の評価)に定める「宅地への転用が見込めないと認められる場合」に該当するから、同なお書きのとおり、近隣の純山林の価額に比準して評価するのが相当であると判断。したがって、X、原処分庁の主張のいずれも採用できないとした。