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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成31年2月15日裁決)

2019年11月22日
マンション塔屋の賃貸に係る費用は共通費用か
平成31年2月15日裁決
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マンション管理組合法人が屋上の一部を携帯電話等の基地局設置場所として賃貸する事業の費用について、収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用(共通費用)に該当するかが争われた。審判所は、共通費用に該当すると判断した上で、その配賦については常に一律ではなく、個々の費用の性質・内容などに応じた合理的な基準により配賦するのが相当であるとした。
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マンション管理組合法人X(請求人)は、法人税法2条6号に規定する公益法人等とみなされる法人であり、収益事業を行う場合に限り、その所得について法人税が課される。
Xは、管理するマンションの共用部分である屋上の塔屋に、PHS及び携帯電話の基地局を設置する賃貸契約を、それぞれの会社と締結し、平成24年9月期から平成27年9月期の各事業年度の間、両社から賃料収入を得た。同時に、塔屋の賃貸事業に関する費用として、マンション管理会社に対する管理業務の委託費、外部業者に対する電気設備の点検費、保険会社に対する火災保険料を、それぞれ負担した。
Xは、各事業年度の法人税申告において、この賃貸事業の賃料を益金に算入しつつも、費用は損金に算入せずに期限後申告をしたため、原処分庁は、法人税の期限後申告に係る無申告加算税の賦課決定をした。
これに対しXは、委託費・点検費・火災保険料については、収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用(共通費用)に該当するとして、全賃貸収入の合計額のうち塔屋の賃貸収入額の占める割合を乗じて算出した金額を、収益事業に配賦される費用の額として損金に算入するよう主張し、更正の請求をしたが、原処分庁は更正の理由がないとしたため、Xは審査請求に及んだ。

審判所は、Xが負担した委託費・点検費・火災保険料はいずれも共通費用に該当すると判断。
その上で、共通費用について、個々の性質・内容等に応じた合理的な基準により、収益事業と収益事業以外の事業に配賦することが相当であると指摘(法基通15-2-5)。塔屋の賃貸事業の費用を、
(1)全従事時間のうち、塔屋の賃貸事業の業務に従事した時間に応じて配賦するのが合理的な費用
(2)共有部分の全体面積のうち、塔屋の面積に応じて配賦するのが合理的な費用
(3)時間や面積に応じては按分できないが、収入に占める割合にて按分するのが、一般的には合理性を有する費用
に分類した上で、委託費のうち管理員業務費は(1)、火災保険料は(2)、管理員業務費を除く委託費及び点検費は(3)に当たるとして、原処分庁の賦課決定処分を一部取り消した。