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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成31年2月7日裁決)

2019年12月06日
決済方法の変更をめぐる重加算税の賦課決定処分を全部取消し
平成31年2月7日裁決
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口座振込から小切手に変更され決済された売上の未計上について、事実の隠ぺいに当たるかが争われた。審判所は、脱漏を目的とした事実は認められないとして、原処分庁による重加算税の賦課決定処分を取り消した。
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請求人Xは、洋服の企画等を目的とする法人である。Xは、平成26年10月8日付でF社へ納品を行い、287,712円(消費税込)の請求書を発行した。この請求書の送受においてなんらかの行き違いがあったらしく、F社は平成27年1月15日付で、同額の小切手を振り出し、代金としてXに支払った。
Xは通常、会計ソフトウェアを使用して会計帳簿を作成しており、小切手等で売上代金を受領した場合は、預金口座に入金をした上で、会計ソフトウェアに売上を入力することにしていた。F社との本件取引においてXは、小切手を現金化し口座に入金したが、会計ソフトウェアへの入力をしなかった。結果としてXは、本件取引の売上を、法人税の平成27年5月期の売上として計上せず、また、消費税等の平成26年6月1日から平成27年5月31日までの課税期間の課税売上高にも計上せずに、確定申告をした。
平成29年10月、原処分庁は、Xの所在地にて法人税等の実地調査を行った際、本件取引の売上が計上されていないことを指摘した。指摘を受けてXが修正申告をしたところ、原処分庁は、売上未計上は国税通則法68条1項に規定する事実の隠ぺいに当たるとして、法人税及び消費税等の重加算税の賦課決定処分をした。
Xは処分を不服として、審査請求に及んだ。

原処分庁は、F社との過去2回の取引では口座振込であった決済方法が、本件取引では小切手に変更されたことに合理的な理由がなく、XがF社に依頼し、決済方法を小切手に変更することで故意に売上に計上しないことにより脱漏を意図したと主張。
これに対しXは、売上未計上は業務繁忙により会計ソフトウェアへの入力を失念した単なる経理ミスであって、原処分庁は経理ミスによる記帳漏れの可能性を排除できておらず、故意の脱漏を立証できていないと反論した。

審判所は、Xが原則として毎月20日又は月末締めで請求書を発行し、翌月末日までに売上代金を口座に振り込むよう各取引先に依頼しているところ、本件では代金の受領が遅れていること、及び、F社の当時の取引担当者が、F社は銀行振込を決まった時期にまとめて行っていたため、本件では小切手にて決済したとする信用できる答述をしていることから、XがF社に支払督促をしたところF社の事情により小切手で支払われたとするのが相当であり、Xが脱漏を目的に小切手への変更を依頼した事実が確認できず、その他の証拠においても脱漏を裏付けるものはないとして、各賦課決定処分の全部を取り消した。