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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(平成31年4月19日裁決)

2020年03月31日
税法の誤解に起因する無申告は「正当な理由」に当たらず
平成31年4月19日裁決
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相続人である請求人は、相続財産が基礎控除以下であったため相続税の申告の必要はないものの、「相続についてのお尋ね」の回答書のみを税務署に提出していた。その後の相続税調査により、相続財産は基礎控除額を上回ることとなり、無申告加算税が課された。請求人は、無申告は国税通則法66条1項ただし書が規定する「正当な理由」に当たると主張したが、審判所はこれを斥けた。
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平成27年11月に発生した相続により、請求人Xは、実母である被相続人甲から、財産を相続した。この直前の平成27年10月から相続発生日までの間、Xは、甲名義の預貯金口座から出金を行い、X名義の預貯金口座に入金をしていた。
Xは、原処分庁から書面「相続税の申告等についてのご案内」が送付されたことから、同封の書類「相続についてのお尋ね」に、甲に帰属する財産を記載し、原処分庁へ提出した。
原処分庁は、平成29年8月、相続税の調査を開始。その結果、X名義の預貯金口座への入金のうち2,934万円については、相続開始前3年以内に甲から贈与された財産であるとし、相続税の課税価格の合計が基礎控除額を超えているとして、Xに対し、相続税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分等をした。
Xは、賦課決定処分等に不服があるとして、審査請求に及んだ。

Xは、書類「相続についてのお尋ね」に、相続税申告書の記載事項を記載し、法定申告期限内に税務署に提出した際、甲の相続財産が基礎控除額以下である場合には「相続についてのお尋ね」が相続税申告書に代わるものである旨、税務署の受付担当者に確認しており、一方で原処分庁は、「相続についてのお尋ね」提出日から税務調査開始までの間、「相続についてのお尋ね」提出が相続税申告に当たらない旨を連絡しなかったことから、無申告加算税を課せられる非はなく、国税通則法66条1項ただし書に規定する「正当な理由」があると主張した。
これに対し原処分庁は、Xが法定期限内に相続税申告書を提出しなかったのは、Xの税法の不知又は誤解によるものであり、「正当な理由」に当たらないと主張した。

審判所はまず、お尋ね書の送付を受けた者が相続税の納税義務を負わないと判断した場合には、回答を記載したお尋ね書のみを提出することとなるところ、仮に税務署の受付担当者の回答によって、Xが「相続税申告書の提出に代わるもの」と認識したとしても、本件お尋ね回答書の提出をもって申告手続が終了したと誤解したものと見るのが相当であるから、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があるとは認められないと指摘。
国税通則法66条1項ただし書は、真に納税者の責に帰することのできない客観的な事情があり、その趣旨に照らしてもなお課税することが不当又は酷になる場合をいい、単なる法律の無知や誤解は「正当な理由」に当たらないとし、また、原処分庁から連絡がなかった点についても、相続税法が申告納税制度を採用していること等から「正当な理由」に当たらないとして、原処分庁の賦課決定処分を大筋で支持した。