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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和元年7月17日裁決)

2020年05月18日
調剤薬局の仕入れは共通売上対応に区分
令和元年7月17日裁決
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医薬品を仕入れて患者に販売する調剤薬局が、過去の消費税の確定申告において、仕入税額控除の計算上、仕入れた医薬品をすべて「非課税売上対応分」に区分していたところ、この処理は誤りだと気づき、「共通売上対応分」に修正して更正の請求を行った。しかし原処分庁は更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったため、争いに発展した。審判所は、調剤薬局の主張するとおり、本件医薬品仕入れについては「共通売上対応分」に区分されるものも含まれるとして、課税処分を一部取り消した。
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調剤薬局を営むXは、医師の処方箋に基づく医薬品の販売のほか、市販医薬品や日用雑貨品の販売も行っていた。通常、調剤薬品は問屋から仕入れていたが、処方箋に記載された医薬品の在庫がないときは他の薬局から仕入れることもあった。逆にXから他の薬局に医薬品を販売することもあり、地域の中でお互いに融通し合っていた。
Xは従来、消費税の確定申告において、控除対象仕入税額の計算上、個別対応方式を選択しており、調剤薬品等の課税仕入れについては、非課税売上対応分に区分していた。しかし、平成29年11月、調剤仕入れは共通売上対応分に区分すべきであったとして、更正の請求を行ったが、原処分庁は平成30年2月、更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったため、Xはこれを不服として審査請求に及んだ。

争点は、Xが調剤仕入れの用途区分をすべて非課税売上対応分としたことは、国税通則法23条1項1号に規定する「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」に該当するか否か。
Xは、調剤仕入れは共通売上対応分に区分すべきであったにもかかわらず、誤って非課税売上対応分として区分していたのだから、「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」に該当すると主張。
一方で原処分庁は、Xは確定申告において調剤薬品等を非課税売上対応分に区分していたのであり、仕入れを行った日の状況により用途区分を合理的に判定したといえ、申告当時の区分の方法に誤りがあるとは認められないから、国税通則法の規定には該当しないと反論した。

これについて審判所は、Xは医師の処方箋に基づいて医薬品を販売するだけでなく他の薬局からの都度の要請という仕入れ後の事情により、一定数は必ず他の薬局へ販売する状況であったと指摘。そうするとXが問屋から仕入れた日の状況としては、その調剤薬品を将来「(課税資産以外の)その他の資産」の譲渡等のみに要するとはいえず、仕入れ後の事情により課税資産の譲渡等に要することも予定されていたと認定した。
よって問屋からの調剤の仕入れは「非課税売上対応分」にも「課税売上対応分」にも該当せず、「共通売上対応分」に区分するのが相当であるため、Xは仕入税額控除の適用を誤っていたと認められると判断した。
他方で、Xが他の薬局から仕入れていた調剤薬品については、すべて健康保険等が適用される販売であったことから、用途区分は非課税売上対応分とするのが相当としたが、これらを前提とした審判所認定の消費税納付税額は原処分額を下回るとして、原処分を一部取り消した。