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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和元年8月19日裁決)

2020年07月13日
医療法人の土地は相当地代通達、薬局の土地は評価通達を適用
令和元年8月19日裁決
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相続により取得した宅地の価額について、医療法人に賃貸している土地は借地権割合50%を控除した価額で相続税の申告をしたところ、原処分庁は「土地の無償返還に関する届出書」が提出されていたことから、相当地代通達の定めにより80%で評価した価額が相当であるとして更正処分等を行った。審判所は、無償返還届は有効であり相当の地代通達の適用が妥当と判断する一方、調剤薬局の土地には借地権が存すると指摘、この部分については評価通達の定めにより評価すべきとした。
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医療法人Fは、平成6年に設立された。設立から平成19年まで、その理事長は甲であった。
平成6年、被相続人甲とその妻乙、及び医療法人Fは、貸主を甲と乙、借主をFとする不動産賃貸借契約を取り交わした。この土地及び隣接地には、乙及び共同相続人Xらが発行済株式の100%を有する同族会社G社により、調剤薬局の建物が昭和55年当時から既に建築されていた。
平成9年、医療法人Fは、不動産賃貸借契約を改定することなく、病院建物を建築。平成11年にも、附属建物を建築した。
平成12年、甲らは借地権の設定をすると同時に、「土地の無償返還に関する届出書」を提出した。

平成26年4月、甲は死亡し、その相続が開始。
乙及びXらは、平成27年、相続税の申告書を期限内に原処分庁に申告し、納税した。
原処分庁は、Xらが評価通達25《貸宅地の評価》に基づき自用地として評価した価額から借地権割合を50%とした金額を控除して申告した土地について、相当地代通達8《「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価》により、自用地価額の80%で評価することになるとして、各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
Xらはこの処分を不服とし、審査請求に及んだ。

原処分庁は、甲がG社所有の薬局建物の敷地を含む全土地を医療法人Fに賃貸していることから、敷地は医療法人FがG社に転貸したものというべきであり、また、甲及び医療法人Fが無償返還届出書を原処分庁へ提出していることから、敷地の評価は自用地としての価額の80%で評価することとなる、と主張した。
これに対しXらは、無償返還届は甲が所有していない土地もその範囲に含まれているなど誤りがあるため無効であり、評価通達25により評価すべきと反論した。

審判所は、医療法人Fの定款上、土地の賃貸等を目的とされておらず、たとえ賃貸借契約書記載の面積が薬局の敷地を含むものであったとしても、医療法人Fが薬局を甲から賃借して同族会社に転貸する目的があったとはいえないことなどから、医療法人Fは病院敷地のみを甲から借り受けていたと認定。ゆえに、病院敷地については、相当地代通達8の定めにより評価すべきとした。
また、無償返還届の有効性についても、合意の時点で甲はすべての土地を所有しており、後にその一部をG社に譲渡しているものの、評価対象地の権利の変動などはなかったことから、病院敷地部分については有効なものと認められるとした。
一方、G社は、敷地上に建物を建築して以後、甲から無償又は有償で敷地を借りていたと認められることなどから、薬局の敷地については借地権の目的となっている宅地と認定し、評価通達25の定めにより評価すべきと判断。原処分の全部又は一部を取り消した。