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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和元年11月19日裁決)

2020年09月14日
預金の申告漏れは意図的な脱漏とは認められず
令和元年11月19日裁決
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高齢の相続人が亡くなった息子の預金を引き継ぎ、自らの預金口座に入金。その後、その預金を相続財産に含めずに相続税の申告を行った。このことが税務調査で発覚し、原処分庁は「隠蔽・仮装」として重加算税を賦課したが、納税者は「隠蔽の意図はなかった」と反論。
審判所は、原処分庁主張の証拠等からは過少申告の意図が認められないと判断し、課税処分を取り消した。
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被相続人甲(請求人Xの兄)は、闘病の末、平成27年4月に死亡した。甲は独身で子供もいなかったため、母親の乙が唯一の相続人となった。
同年5月、乙は甲名義の預金口座3口を解約し、同金融機関の乙名義口座に預け入れる相続手続をした。乙は税理士に依頼して申告期限内に相続税の申告をしたものの、自らの口座に移転した預金については税理士にも伝えておらず、結果的に申告漏れとなった。
平成30年4月、乙は原処分庁より調査を受け、上記3口座の預金以外にも甲名義の銀行預金や国債など相続財産の申告漏れが発覚したため、修正申告書を提出。同年7月、乙が死亡し、Xがその納税義務を承継した。
同年8月、原処分庁は、過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分を行った。
Xはこの処分を不服として、審査請求に及んだ。

原処分庁は、乙は相続開始日において上記3口座の甲名義の銀行預金等の存在を知っていたにもかかわらず、これを税理士に伝えず、申告において相続財産に含めなかったとして、通則法68条1項に規定する事実の隠蔽又は仮装に基づく故意の脱漏に当たる等と主張。
これに対しXは、乙は極めて高齢であり、仮に相続財産の一部を税理士に伝えていなかったとしても、闘病中の甲の預金管理を行っていたことから自己の財産と認識していたにすぎず、隠匿や故意の脱漏とはいえない、等と反論した。

審判所はまず、原処分庁が根拠とする関与税理士の申述や証拠等からは、乙が預金等の存在を税理士に伝えなかった事実は認められるものの、乙が預金は相続財産であると認識した上で意図的に伝えなかったとまで認められない、とした。
また、乙が、甲名義口座預金を同金融機関の乙名義口座に入金し、調査日現在においても解約していないことや、使用済通帳を破棄できる状況にありながら保管をし、調査の際に素直に提出したこと等から、乙が意図的に上記3口座等の相続財産を隠蔽しているとは認められず、故意に当初申告の対象から除外したとも認め難い、とした。
したがって、乙の行為は隠蔽又は仮装に当たらないとして、原処分の一部を取り消した。