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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年1月20日裁決)

2020年10月13日
人間ドック等の補助に係る経済的利益は非課税
令和2年1月20日裁決
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法人が福利厚生として使用人に付与している、人間ドックの費用補助等に使用できるカフェテリアプランのポイントが、源泉所得税等の課税対象となるかが争われた。審判所は、ポイント自体は課税対象にはならず、また人間ドックの費用補助等に係る経済的利益も源泉徴収の義務はないと判断した。
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E社は、平成22年に設立された法人。E社は、社員の福利厚生のため、毎年4月1日に在籍している社員に、2万円相当のポイントを付与するカフェテリアプランを導入し、平成28年より実施した。社員からカフェテリアプランの各メニューの使用申請があった場合、キャッシュバック又は差額精算により、ポイント数に相当する金額をE社が負担する仕組みである。
E社は、メニューのうち、人間ドック、脳ドック、部位検診を受診した際の費用を補助する「人間ドック補助」など3つの補助について、源泉所得税等の対象としていなかった。
原処分庁は、平成30年12月付で、これら人間ドック補助等に係る経済的利益は、所得税基本通達36-29又は36-30に定める課税しない経済的利益に該当せず、給与等として課税すべきであるとして、源泉所得税等の各納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をした。
E社は、処分を不服として、審査請求に及んだ(E社は平成31年4月にX社に吸収合併され、審査請求人の地位はX社が引き継いだ)。

原処分庁は、カフェテリアプランの各メニューのうち、財形貯蓄に対して申請ポイント分の補助金が受けられる「財形貯蓄補助金」(源泉所得税対象)については、他のメニューとは異なり、申請された財形貯蓄補助金メニューに使用するポイント数に相当する金銭が、E社から各社員に支給されるものであるから、E社社員は各メニューについて、E社から費用負担を肩代わりしてもらうという経済的利益の供与と、金銭の支給という二つの供与の方法を選択することができるといえることから、無条件ではないものの換金することができると認められ、その全額が給与等として課税されるものとするのが相当である、と主張した。
これに対しE社は、財形貯蓄をしていない社員は財形貯蓄補助金メニューを選択できないことから、原処分庁の主張には論理に矛盾がある等と反論した。

審判所はまず、E社のカフェテリアプランは、ポイントを現金に換えられるなど換金性があるとは認められず、金銭の給付と同様とはみられないことから、選択したメニューにかかわらず
課税対象にはならないとし、そうすると社員が選択した現に受けるサービスに応じて課税しない経済的利益に該当するかを判断することになるところ、人間ドック補助等の経済的利益は、その内容や、限度額2万円ということを考慮すると、課税しない経済的利益に該当すると判断。処分の全部を取り消した。