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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年3月2日裁決)

2020年11月08日
生協が組合員以外に発行した領収書は印紙税の課税文書に該当
令和2年3月2日裁決
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消費生活協同組合が作成した領収書及び契約書が、印紙税の課税文書に該当するかが争われた審査請求事案で、審判所は、組合への出資者に発行したものについては非課税文書に該当するとしたものの、出資者以外に発行したものについては該当しないとして、一部を除き請求人の主張を斥けた。
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請求人Xは、生協法に基づき設立された消費生活協同組合。その組合員は、Xへ出資を行った者である。
Xは、生協法の規定等に基づき、ある複数の施設の事業(冠婚葬祭に関する事業と思われる)に係る経理と、その他の事業に係る経理とを区分したうえで、収支を明らかにしている。Xはこれら施設において、利用者から施設利用料等の対価を受領した際、利用料領収書など数種の領収書を発行していた。Xはこれら各領収書(1)に印紙を貼付しておらず、印紙税法9条、10条、11条に規定する印紙の貼付以外の納付方法による印紙税納付もしていなかった。
またXは、平成25年12月にJ社及びK社との間で締結した4種の各契約書(2)のうち、2種には印紙を貼付していたが、2種には印紙を貼付しておらず、印紙税法9条、10条、11条に規定する印紙の貼付以外の納付方法による印紙税納付もしていなかった。
平成30年12月、原処分庁は、(1)各領収書は課税物件表17号の「物件名」欄の1に規定する「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当し、(2)各契約書は課税物件表7号の「物件名」欄に規定する「継続的取引の基本となる契約書」に該当するとして、Xに印紙税の過怠税の各賦課決定処分をした。
これに対しXは、処分を不服とし、審査請求に及んだ。

争点は、各領収書及び各契約書が課税文書であるか否か。具体的には、各領収書が課税物件表17号の非課税物件の2に規定する「営業に関しない受取書」に該当するか、また、各契約書が印紙税法施行令26条1号に規定する「営業者」の間において作成された契約書に該当するか否かだ。
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<課税物件表17号>
(課税物件)
1 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書
(非課税物件)
2 営業(会社以外の法人で、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができることとなっているものが、その出資者以外の者に対して行う事業を含み、当該出資者がその出資をした法人に対して行う営業を除く。)に関しない受取書
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Xは、Xが生協法に基づき営利目的として事業を行っていない等を理由に、これら施設の事業がXの定款における「営業」には該当せず、また印紙税法施行令26条1号に規定する「営業者」にも該当しないため、各領収書及び各契約書は課税文書に該当しないと反論した。

審判所はまず、(1)各領収書について、課税物件表17号の1文書に該当するとしたうえで、印紙税法5条柱書及び1号が規定する課税文書に該当しない文書に該当するかを検討。
生協法52条及びXの定款に基づき、Xが非出資者に対して行う事業は「営業」に該当すると指摘。
(1)各領収書のうち出資者宛各領収書は、出資者に対して交付されたものであったと認められるとして原処分庁の主張を斥けたものの、非出資者宛のものについては課税文書に該当すると認定した。
同様に、(2)各契約書についても、請求人がその出資者に対して行う事業は「営業」には該当しないが、出資者以外の者に対して行う事業は、たとえ営利を目的としないものであってもすべて「営業」に該当すると指摘。
各契約書についてはいずれも請求人が出資者以外の者に対して行う事業において作成したものであり、請求人も非課税規定に規定する「営業」を行う者といえると判断、課税文書に当たると認定した。
そのうえで、(1)各領収書のうち非出資者宛のもの、及び(2)各契約書に係る印紙税の過怠税を計算したところ、原処分庁の賦課決定処分額を下回ったため、原処分の一部を取り消した。