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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年2月5日裁決)

2020年12月11日
輸入取引の仕入額は総勘定元帳に計上した仕入高
令和2年2月5日裁決
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アパレル輸入・販売会社が、輸入取引に係る仕入額について、総勘定元帳に計上した額に基づいて法人税等の確定申告をした。原処分庁は、真正な仕入額は税関での申告価格であり、これを上回る金額は損金の額に算入することができない等として、法人税等の各更正処分等を行った。審判所は、総勘定元帳に計上した金額が真正な仕入額であるとして、原処分庁の主張を斥けた。
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請求人X社は、主に中国から輸入したアパレル商品等を国内業者向けに販売する卸売業を営む法人。X社は、中国に所在する法人A社からアパレル商品等を仕入れており、X社とA社の代表者はともに甲である。
A社は、中国で甲が購入したアパレル商品等を日本へ輸出する際、中国の輸出業者に輸出代行を依頼し、輸出業者が作成したインボイス等必要書類はX社が依頼した通関業者に提出していた。アパレル商品等が日本国内の保税地域に搬入された後、通関業者は輸出業者から提出された必要書類に沿って関税、消費税及び地方消費税の納付手続を含む輸入申告手続を、X社の代わりに行うこととしていた。
A社は、輸入取引に際し請求書を発行しており、X社は請求書に基づき算出した金額を仕入高として総勘定元帳に計上していた。X社は、平成26年から平成28年までの各事業年度における輸入取引に係る仕入額について、この総勘定元帳に計上した仕入高に基づき、法人税等の確定申告を行った。
平成29年、原処分庁は、輸入取引に係る仕入額は、X社の輸入申告における申告価格に基づき算出した金額が正しく、X社は事実を仮装して損金額を過大に計上しているとして、法人税の更正処分及び各賦課決定処分等を行い、さらに過大計上は法人税法127条1項3号の事由に該当するとして、平成28年以後の青色申告の承認の取消処分を行った。
X社はこれらの処分の取消を求め、再調査を請求したが棄却されたため、処分を不服として審査請求に及んだ。

原処分庁は、輸入申告額が真正な仕入額であるという主張の根拠として、甲が税関調査の際、「税関に申告した額が正しく、原処分庁に申告した仕入高は過大計上」と申述したことを挙げた。
これに対し審判所は、そもそもこの申述は、輸入申告額を真正な仕入額とする具体的理由が明らかでなく、客観的証拠にも乏しく、元帳の計上額・計上日に一致する送金の事実が少なくとも5回あったこと等、客観的事実に整合しない部分もあることから不採用とし、この申述のほかに原処分庁の主張を裏付ける証拠もないことから、仕入額が過大であったとは認められないとして、原処分のほぼ全部を取り消した。