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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年6月2日裁決)

2021年01月12日
騒音による取引金額への影響がある土地は10%の減価が相当
令和2年6月2日裁決
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鉄道路線の近隣に位置する宅地の相続時の評価において、騒音を理由とする減価が認められるかどうかが争われた。審判所は、相当程度の騒音が日常的に発生していたと認められ、騒音により土地の取引金額にも影響があることから、10%の評価減をすべきと判断した。
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被相続人甲は平成27年2月に死亡し、相続が開始した。甲は某市内に、それぞれ隣接する3つの土地A~Cを所有。これらのうち土地Aは、北西側に敷設された鉄道の線路から10~30mの範囲内に位置している。また、最も南東側に位置する土地Cは、南東側で市道と面しており、土地A~Cはこの市道に設定された路線価にて評価すべき土地である。なお、この路線価は、鉄道騒音による斟酌(減価補正)を受けていない。

平成27年12月、甲の長男である相続人Xは、甲の相続に係る相続税の申告書を提出した。
平成30年12月、Xは、土地Aにて騒音測定をしたところ列車走行により約80デシベル以上の騒音が生じていることから、国税庁タックスアンサー「No.4617利用価値が著しく低下している宅地の評価」の記載に該当すること等を理由に、土地Aの価額を10%減額することを求め、相続税の更正の請求を行ったが、原処分庁は、騒音を理由とする減額については認めなかった。
Xはこれを不服とし、審査請求に及んだ。

審判所はまず、土地Aが騒音により利用価値が著しく低下している宅地として減額して評価されるためには、
(1)評価に用いる路線価が騒音を考慮していないこと
(2)騒音が生じていること
(3)騒音により取引金額が影響を受けると認められること
の3要件を満たす必要があるとした上で、本件土地の場合、要件(1)は満たされていると指摘。
次に、(2)、(3)については、平成15年に県が実施した騒音実態調査や、令和元年8月に審判所が行った現地調査の結果に基づき、要件(2)を満たしていると認定した。
また、土地Aが固定資産評価に当たり鉄道騒音補正率0.90を適用されていることや、隣接する別の市でも同鉄道が騒音による減価補正の対象とされ30m以内の固定資産評価額が0.90~0.98の補正率を適用されていること等に基づき、要件(3)も満たすと認定した。
よって、Xの審査請求には理由があるとして、原処分の全部を取り消した。