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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年5月19日裁決)

2021年01月29日
競走馬の転売取引は通謀虚偽表示に当たらず
令和2年5月19日裁決
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軽種馬をオークションで落札した法人から馬の転売を受けた個人馬主に対し、「両者の売買契約は通謀虚偽表示に当たり、消費税等の負担を不当に軽減している」として課税処分が行われた。審判所は、馬主と法人間の売買取引には実体があったと推認され、また両者に通謀虚偽表示をする動機もないとして、原処分を全部取り消した。
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個人馬主Xは、所有する競走馬を競馬に出走させて賞金等を得ている。
Xは、主に化粧品等の開発・販売等を行うH社に、農業協同組合が開催する軽種馬のオークションにおいて、落札候補馬を調査・推薦する業務を依頼。同社が落札した軽種馬を都度購入していた。
Xは、平成27年及び平成29年の各課税期間の消費税の確定申告の際、H社より購入した複数の軽種馬の取得価額として課税仕入れに係る支払対価の額に計上し、仕入税額控除の額を算出した上で消費税等の申告を行った。
原処分庁は、XとH社間の売買取引は通謀虚偽表示(民法94条)に当たり無効であり、取引の実体はH社の名義を利用しての取得であるため、H社の落札・購入価額とXの取得価額の差額は課税仕入れに係る支払対価の額に該当せず、隠蔽又は仮装に該当するとして、消費税等の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分を行った。
Xは処分を不服とし、審査請求に及んだ。

審判所は、XとH社間の売買取引が通謀虚偽表示に該当するかについて、同取引によりXの消費税等の負担額が減少しているのは確かだが、XはH社の株主・役員等ではなく、利益を供与するような特別な関係があったとまでは認められず、両者に通謀虚偽表示を行う十分な動機があったとまではいえないこと等から、これに該当しないと判断。仕入税額控除額はXが申告した額と同額になると認定した。
また、両者間の売買契約に実体がないという原処分庁の主張についても、H社が各軽種馬の購入金額におおむね同程度の金額を加算しており、落札候補馬を調査・推薦する業務に係る対価を上乗せしたものと解して不自然でないこと等から、採用できないとした。
そのため、隠蔽又は仮装には該当しないとして、更正処分の大部分と各賦課決定処分の全部を取り消した。