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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年6月19日裁決)

2021年02月24日
渡り廊下で接合の2棟の家屋は「一構えの家屋」に該当せず
令和2年6月19日裁決
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譲渡した土地上に建つ、渡り廊下で接合された2棟の家屋が、併せて一構えの一の家屋として居住用財産の特別控除が適用されるかどうかが争われた。審判所は、請求人が所有し居住していた1棟にのみ適用されると判断した上で、適用対象となる譲渡所得金額はその家屋の床面積の割合を乗じて算出することが合理的とした。
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請求人Xは、死亡した配偶者甲の相続により、土地及び家屋Aを取得し、平成28年11月まで居住していた。
平成9年3月、Xの子であるGとその妻は、この土地上、家屋Aの北隣に家屋Bを新築・取得。
家屋Aと家屋Bは、2階の一部が渡り廊下で接合されていた。
平成28年2月、X及びG夫妻は、買主Jとの間で土地及び家屋A・Bの売買契約を締結し、同年11月、これらを引き渡した。Xは、家屋A・Bは併せて一構えの一の家屋であるとして、この譲渡による分離長期譲渡所得の金額の計算上、居住用財産の3,000万円特別控除(措置法35条1項)を適用し、同年分の所得税等の確定申告を行った。
これに対し原処分庁は、家屋A・Bは併せて一構えの一の家屋ではなく、Xが居住していた家屋は家屋Aであるから、家屋Bには居住用財産の特別控除は適用されないとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
Xはこの処分を不服とし、審査請求に及んだ。

Xは、日常的に家屋BでG夫妻と食事を共にしたり、家屋Bの風呂を使用していたこと、G夫妻とは同一生計であったこと等から考えても、家屋Aと家屋Bは一構えの一の家屋であり、家屋Bの敷地にも居住用財産の特別控除が適用されると主張した。

これに対し審判所はまず、居住用財産の特別控除の規定について、居住用財産は一般の資産の譲渡に比べ特殊な事情があり、担税力が弱いことを考慮し、住宅政策上の見地から新たな居住用財産の購入を保障する趣旨で立法された特則・例外規定であるとし、その解釈に当たっては狭義性・厳格性が要請されているとした。
その上で、二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるかどうかについては、各家屋の規模・構造・間取り・設備・各家屋間の距離等の客観的状況から判断して、いずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならないとした。
本件の場合、家屋A・Bとも玄関・台所・風呂・便所を備え、電気・ガス・水道・固定電話の設備があり、照明器具等の家電製品が設置されていたこと等から、家屋A・Bは併せて一構えの一の家屋には当たらないと判断。Xの居住の用に供していたのは家屋Aであるから、家屋Bの敷地に居住用財産の特別控除は適用されないとする原処分を妥当と認めた。
ただし、家屋A敷地に係る譲渡収入金額の算定において、原処分庁が家屋Aと家屋Bの延床面積の割合により算出していることについては、相当ではないと指摘。家屋Aと家屋Bの各階の登記上の床面積のうち、最も広い面積の割合により算定すべきと判断。これを計算したところ、更正処分の金額を下回ったため、原処分の一部を取り消した。