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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年8月11日裁決)

2021年05月19日
遺留分減殺請求に基づく価額弁償金の評価は通達適用により減額と判断
令和2年8月11日裁決
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相続人が申告の際、遺留分減殺請求により受け取った価額弁償金について、取得財産の価額に算入した金額に相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)の適用漏れがあったことを理由として更正の請求をしたところ、原処分庁は、遺留分減殺請求訴訟の和解までの経過の中で価額弁償金について協議・合意があったため、同通達(2)の適用は認められないとして門前払いをした。審判所は、協議はなかったと認定し、原処分を違法として全部取り消した。
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請求人Xの母甲は、平成22年8月、次の遺言をした。
・甲の有する一切の財産をXの兄Aに相続させる。
・Xから遺留分減殺の請求があったときは、AはXに対し、甲の遺産の4分の1を取得させる。
平成28年2月、甲は死亡し、その相続が開始した。
平成28年11月、XはAに対し遺留分減殺請求訴訟を提起。平成30年3月、両者は「AはXに対し遺留分減殺請求に基づく価額弁償金3億3,000万円の支払義務があることを認める」等の内容で和解した。
平成30年5月、Xは、価額弁償金3億3,000万円等を取得したとして相続税の申告・納付をしたものの、同年7月、相続税法基本通達11の2-10の(2)に基づき、3億3,000万円に対象財産の相続開始日における価額が和解条項における価額に占める割合を乗じて計算をした金額約2億2,500万円を価額弁償金の課税価格とする更正の請求を行った。
令和元年5月、原処分庁は、和解の際に価額弁償金の金額について何らかの合意があったと考えるのが自然であり、Xの相続税の取得財産の価額に算入する価額弁償金の金額は、同通達の(1)の要件を満たしているとして、その金額を3億3,000万円とする更正処分を行った。
Xはこの処分を不服とし、審査請求に及んだ。

審判所は、原処分庁の主張に対し、訴訟中から申告までの間に直接やりとりをしていた訴訟代理人間において、価額弁償金について協議されていないことで関係者の答述が一致しており、また訴訟中から申告に至るまでの経緯等に照らしても価額弁償金の申告額を具体的に協議した事実は認められないこと等から、そのような合意はなかったとして、通達(1)には該当しないとした。
そして、価額弁償金の金額は、対象財産が特定され、かつ、本件和解時に合意された当該対象財産の通常の取引価額を基として決定されたものであるから、通達(2)の場合に該当し、その定めによりXの相続税の取得財産の価額に算入する金額を計算すべきであるとして、更正処分を全部取り消した。