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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年12月17日裁決)

2021年07月16日
営業部長ではなくなった取締役は使用人兼務役員に非該当
令和2年12月17日裁決
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取締役に支給した賞与を使用人兼務役員に対する使用人職務分として損金額に算入したことについて、この取締役が使用人兼務役員に該当するか否かが争われた。審判所は、法人組織の実態等から、部長職の地位を有していた期間についてのみ使用人兼務役員に該当すると判断した。
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X社は水産食料品の製造・加工・販売等を業とする会社であり、その発行済株式のすべてを代表取締役甲が所有する同族会社である。
X社は、平成23年から令和元年の各事業年度の間、取締役Aに対し賞与として、毎期12月に270万円、毎期6月に310万円の一定額を支給していた。
X社は、各事業年度の法人税等の確定申告書を原処分庁に提出する際、Aに支給した賞与を法人税法34条1項及び6項の「使用人兼務役員の使用人職務分」とし、また月給を「使用人職務分以外の定期同額給与」とするなど、その全額を損金の額に算入した。
その後X社は税務調査により、Aの賞与及び人間ドック費用について損金に算入できない旨の指摘を受けたが、X社は賞与については修正しなかった。これを受け原処分庁は、Aが取締役会に出席しX社及びグループ会社に関する稟議の承認を行うなど、明らかに通常の使用人としての職務を超えているため、Aへの賞与は「使用人兼務役員の使用人職務分」に該当しない等として、法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
X社は、原処分に不服があるとして、審査請求に及んだ。

X社は、Aが取締役に就任した後も営業部長職という職制上の地位を有し、営業部長として指揮命令系統に属する職務を行っていること、X社代表取締役の親族や株主ではないこと、X社の実質的な意思決定機関である「月例会議」には参加していないことを根拠に、使用人兼務役員に該当すると主張した。

審判所はまず、Aが使用人兼務役員に該当するかについて検討。
Aが平成27年3月31日までは職制上の地位として明確に定められた「部長」職の地位を有しており、一連の営業活動に従事していたと認められるものの、同年4月1日のX社における機構改革以後については、グループ法人内での職務分掌の変更に伴い職制上の地位を失ったことから、同日までの期間についてのみ法人税法34条6項、法人税法施行令71条1項2号等が規定する使用人兼務役員に該当すると認定した。
その上で、各事業年度における役員報酬月額、賞与支給時期、賞与支給額の決定方法について、Aへの使用人職務分としての支払を否定するに足りる証拠がないことから、この期間に支給された賞与についてのみ使用人職務分として損金に算入できると認定。この期間に係る更正処分及び各賦課決定処分を取り消した。