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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年12月15日裁決)

2021年08月23日
複数の土地売買による譲渡収益は当事者それぞれに帰属
令和2年12月15日裁決
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同一人物が経営する2社が、権利関係が複雑な複数の土地等を譲渡し、収益は2社それぞれに帰属するとして申告したところ、税務署は2社のうち1社に帰属するとして否認した。
審判所は、諸事情を総合勘案の上、譲渡は一体の契約ではなく、その収益は個別に契約した2社それぞれに帰属すると判断、課税処分を取り消した。
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X社は、平成19年4月に設立された、一般土木建築工事の調査・設計・積算・監理・施工請負・土地の造成、及び売買・保有・管理・賃貸借・仲介等を目的とする株式会社。X社の代表取締役甲は、かつてリゾート施設を運営していたR社の代表取締役でもある。
太陽光発電事業を営むA社は、発電設備を設置する土地の取得のため、一部に地上権設定登記がされているなど権利関係が複雑なR社リゾート施設跡地について、R社代表取締役であり各地権者とも顔見知りである甲と交渉を開始した。
平成23年11月、X社は、買主をA社が設立したA2社とし、
(1)X社が各土地の所有権と地上権を譲渡
(2)X社が合併処理施設等を譲渡
(3)R社が各地権者の各土地(太陽光パネル設置予定地)を買収し、契約後6か月以内に引き渡す
とする不動産等売買契約を締結した。契約書は、作成当時のX社代表取締役乙及びR社代表取締役甲の名で、それぞれ記名・押印された。
令和元年5月、原処分庁は、この不動産等売買契約に係る収益はすべてX社に帰属し、その収益はすべての引渡しが完了した平成25年3月期の益金の額に算入される等として、法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分等を行った。
X社はこの処分を不服とし、収益は契約書記載のとおり、X社・R社それぞれに帰属すべきであり、X社に収益が帰属する譲渡については、その移転登記がされた年度(平成24年3月期)に計上すべきとして審査請求に及んだ。

原処分庁は、売主をX社又はR社とする不動産等売買契約に係る収益について、以下のように主張した。
(イ)X社代表取締役甲は契約当時のR社の実質経営者でもあり、またR社が契約に係る経費を負担しておらず、代金もX社名義の預金口座等に入金されている等の諸要素から、実質的に収益すべてはX社に帰属すべき
(ロ)契約は土地等及び施設等の譲渡が一体となったものであるから、その収益は、そのすべてが引き渡された平成25年3月期に計上すべき

審判所は、事業収益の帰属者が誰であるかは、事業の遂行に際して行われる法律行為の名義人が誰かというだけでなく、取引に係るその他の諸事情を総合勘案して、事業の主体は誰であるかにより判断することとなるとした上で、
(a)X社及びR社は、それぞれの意思に従い、それぞれ別の債務を負う内容の契約を締結していると認められ、またR社従業員が土地等の買収に係る業務を行っていたなどの諸事情があることから、不動産等売買契約はそれぞれ別個の契約であり、その収益はX社・R社それぞれに帰属する
(b)不動産等売買契約がそれぞれ別個の契約であると認められる以上、X社が収益を計上すべき時期は、平成24年3月期の買主への移転登記の日の年度と判断するのが相当等と認定。原処分の大部分を取り消した。