お問い合わせ

  • 〒101-0032
  • 東京都千代田区岩本町1-2-19
  • 株式会社日本法令 ZJS会員係
  • 会員直通:03(6858)6965
  • FAX番号:03(6858)6968
お電話での受付時間
平日 9:00~12:00
  13:00~17:30

お問い合わせはこちら

SSL グローバルサインのサイトシール

このシステムは、SSL(Secure Socket Layer) 技術を使用しています。ご入力いただいたお客様情報はSSL暗号化通信により保護されております。SSL詳細は上のセキュアシールをクリックして確認することができます。

税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年12月14日裁決)

2021年09月21日
死因贈与の権利確定していなくても相続税の申告は必要
令和2年12月14日裁決
---------------------------------------------------------
遠い親戚と死因贈与契約を結んでいた納税者が、相続の開始を受けて相続財産管理人選任の申立てをし、相続債権者等への公告等を経て死因贈与に係る財産を受け取り、相続税の申告を行った時点で、すでに相続開始日から10か月以上が経過。期限後申告として無申告加算税の賦課決定処分を受けた。権利が未確定な状態では「相続の開始があったことを知った」とはいえないとして処分の取消しを求めたが、審判所は納税者が現実に被相続人の死亡を知った日が「相続の開始を知った日」と判断、納税者の主張を棄却した。
---------------------------------------------------------
Xらは同居する夫婦であり、被相続人甲の遠縁に当たる。甲には相続人がおらず、生前、Xらとの間で死因贈与契約を締結していた。
平成30年4月、甲は死亡し、その相続が開始した。同4月26日、Xらは菩提寺からの連絡により甲死亡の事実を知り、翌27日に死亡届を提出した。
同10月、Xは、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を求める申立てをした。選任された相続財産管理人は、平成31年2月付で相続債権者及び受遺者への請求申出の催告に係る公告をし、唯一の権利主張者であるXらに対し同3月、死因贈与契約を履行する旨を通知。同4月に金員の支払を行った。
これに基づき、令和元年5月、Xらは相続税の申告をしたが、原処分庁は、この申告は相続開始から10か月を経過しており、期限後申告に当たるとして、無申告加算税の賦課決定処分をした。
Xらはこの処分を不服として審査請求に及んだ。

原処分庁は、Xらが平成30年4月27日付で甲の死亡届を提出していることから、Xらは遅くとも同日までには相続開始を知っており、その翌日から10か月以内が申告の期限であった等と主張。
これに対しXらは、本相続は相続人が不存在であり、相続財産管理人による所定の手続完了後でなければ履行が確定しない状態であり、権利が未確定な状態では「その相続の開始があったことを知った」とはいえず、死因贈与契約の催告期間満了日である平成31年4月5日の翌日から10か月以内が申告の期限であった等と反論した。
またXらは、仮に期限後申告であったとしても、国税通則法66条1項ただし書の「正当な理由」に該当するとも主張した。

審判所は、甲が生前Xらと死因贈与契約を締結したことから、その相続開始日(死亡した日)に支払を受ける権利を獲得したことになるとし、Xらが甲死亡の事実を知った平成30年4月26日より10か月以内に相続税の申告書を提出しなければならなかったとして、Xらの申告を期限後申告と認定。Xらが主張する平成31年4月5日以前に確定していなかったのは死因贈与契約に基づく支払の履行に過ぎず、主張には理由がないとした。
また、「正当な理由」が認められるか否かについては、相続開始日にXらは本件死因贈与契約に基づき贈与を受ける権利を取得することが確定したのであり、相続税の申告期限において金員の支払の履行が未確定であったに過ぎない。したがって、「正当な理由」があったとは認められないとして課税処分を適法と認めた。