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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和2年12月15日裁決)

2021年10月08日
実質的オーナーであっても退職後はみなし役員に当たらず
令和2年12月15日裁決
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株式会社の元代表取締役について、退職後も経営に従事していると原処分庁から指摘され、その退職給与が損金に算入できるかどうかが争われた。審判所は、原処分庁の主張を裏付ける客観的証拠がなく、また辞任後に給与を受領していないこと等から、原処分庁の主張を斥けた。
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X社は不動産の賃貸等を営む株式会社であり、同族会社である。
平成24年11月、X社の代表取締役Aは、代表取締役及び取締役を辞任。X社は、役員退職金規程に基づき7億2,500万円を役員退職慰労金勘定に計上の上、源泉所得税を控除した金額をAに支払った。
平成30年9月、原処分庁は税務調査を開始。令和元年5月、Aが退職後も引き続きX社の経営に従事しており、みなし役員に該当するため、実質的に退職したとは認められず、Aに支払った退職金の金額は法人税法34条1項かっこ書所定の退職給与に該当しないとして、法人税等の過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
X社はこの処分を不服として、審査請求に及んだ。

原処分庁は、毎月開催されるX社を含む法人グループの基幹となる経営会議にAが辞任後も直接又はスカイプを使用して出席し、各代表取締役より上位の立場で振る舞っていたこと等を根拠に、Aが実質的に退職していないと主張した。
これに対しX社は、Aは形式的にも実質的にもX社を退職している等と反論した。

審判所は、法人税法2条15号にいう「法人の経営に従事している者」とは「法人の事業運営上の重要事項に参画していることをいう」として、Aが辞任後も継続してX社の経営に従事していたかどうかを検討。
・原処分庁が主張する「経営会議への出席と具体的な指示」について的確な証拠や信用性のある申述がなく、そもそもX社を含む法人グループ全体の実質的なオーナーであったAが仮に経営会議にて発言力を有していたとしても、そのことをもって直ちにX社の経営に従事していたとは認められない
・Aは辞任の日以降、少なくとも平成29年3月までの間、X社から役員給与や従業員給与を受領しておらず、辞任の5か月前にシンガポール共和国に住所を移転しており、辞任に至った経緯も不自然ではない
・Aの辞任後にX社代表取締役となった者がその職務を全く行わなかったとする証拠もない
――等のことから、Aが辞任後も継続して経営に従事していたとはいえないと判断。
原処分のいずれも違法であるとして、その全部を取り消した。