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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和3年2月5日裁決)

2021年11月26日
死亡共済金の申告漏れは意図的な過少申告に当たらず
令和3年2月5日裁決
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みなし相続財産である死亡共済金が相続税申告書に記入されていなかったことについて、重加算税の賦課要件を満たすかどうかが争われた。審判所は、関与した税理士が資料等提出時や申告書作成時に請求人に具体的な確認等をしていなかったこと等から、要件を満たさないとした。
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平成29年3月、被相続人甲が死亡し、その相続が開始した。相続人は甲の妻X1、二男X2、三男の計3名である。
同3月、X1・2は、申告書及び遺産分割協議書の作成等を税理士に依頼した。X2は税理士との面談にて、生命保険金等が相続税の申告すべき財産である旨の説明を受けた。
甲は生前、A農業協同組合との間で、受取人をX1とする生命共済の契約を締結していた。
平成29年4月、その死亡共済金約4,000万円が、X1の口座に振り込まれた。
X1・2は、相続税申告書を期限内に提出したが、申告書にこの死亡共済金は記載されていなかった。原処分庁の調査により申告漏れを指摘されたX1・2は、令和元年11月、修正申告書を提出した。
令和元年12月、原処分庁は、この共済金の申告漏れに係るX2の行為が国税通則法68条1項に規定する「隠蔽・仮装」の要件を満たすとして、X2に重加算税の賦課決定処分をした。
X1・2はこの処分を不服とし、審査請求に及んだ。

原処分庁は、X2が、死亡共済金は相続税の申告をすべき財産であることを十分認識していたにもかかわらず、これを除外する意図をもって税理士に対し殊更にその存在を秘匿し、税務調査においても死亡共済金の申告漏れが単なる失念にすぎないかのように申述等を変遷させたことなどを考慮すれば、過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたと認められるため、重加算税の賦課要件を満たす等と主張した。

審判所は、
(1) X2が税理士から「生命保険金等が相続税の申告すべき財産となる」という説明を受けていること等から、死亡共済金も申告すべき財産と認識していたと推認するのが合理的
(2) X2の「相続税の申告すべき財産ではないと誤解していた」という主張及び答述は、合理的な理由もなく変遷したものにすぎない
(3) 当初の申告において税理士が追加提出を依頼すべき資料等があるか検討しておらず、X2に具体的な確認をしていなかった上、申告書作成に当たっても内容の具体的な説明をしていなかったこと等から、当初申告書に死亡共済金が記載されていなかったことをX2が認識していたとまでは認められず、したがってX2が本税理士に対し殊更に共済金の存在を秘匿したとまでは認められない
等と認定。
X2が当初から過少申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたとまではいえない等として、X2の過少申告加算税相当額を超える部分の賦課決定処分を取り消した。