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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和3年6月22日裁決)

2022年03月18日
小規模宅地特例の更正請求は対象宅地の分割から4か月以内
令和3年6月22日裁決
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小規模宅地等の特例適用に当たり、当初申告では「3年以内の分割見込書」を添付。約1年後に特例対象宅地の分割が決定し、さらにその半年後にすべての財産の分割が決定、その後更正の請求をしたところ、特例対象宅地の分割から4か月超が経過しているため、適用できないとして否認された。納税者は「3年以内の分割」とは「すべての財産が3年以内に分割された」と解釈すべきと主張したが、審判所は「更正の請求ができるのは特例対象宅地の分割から4か月以内」と断定。納税者の請求を棄却した。
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平成29年11月、甲が死亡し、その相続が開始した。共同相続人は長女X1と長男X2の2名(Xら)である。甲は生前、長女X1と同居していた。
平成30年9月、Xらは相続税申告書を提出。このとき、遺産の大部分が未分割であったため、法定相続分で相続税の計算を行い、また「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した。
平成30年12月、甲所有の土地は分筆され、Xらは遺産分割協議書を作成した。その内容は、建物及びその敷地を長女X1が、他の土地を長男X2が取得するものであった。
さらに令和元年6月、Xらは、土地等を除いた遺産の分割協議を行い、すべての遺産分割がまとまったとして、遺産分割協議に基づき相続税の更正の請求をした。この請求で長女X1取得の土地に対し小規模宅地等の特例適用も求めた。
同年10月、原処分庁は小規模宅地等の特例の適用は認められないとして、その他の更正請求についてのみ認容・更正処分をした。Xらは、特例の適用を求めて再度更正の請求をしたが、令和2年3月、原処分庁は、更正請求は相続税法32条1項規定の期間(4か月)を徒過したものであるとして、更正すべき理由がない旨の通知処分を行った。Xらはこの処分を不服とし、審査請求に及んだ。

Xらは、
(1) 租税特別措置法69条の4第4項ただし書にある「特例対象宅地等が申告期限から3年以内に分割された」とは「全ての相続財産が申告期限から3年以内に分割された」と解釈できるため、相続税法32条(更正の請求の特則)1項の更正の請求を認めるべき
(2) 遺産分割協議書の日付は書類を作成した日にすぎず、最終的に遺産分割協議を行った令和元年6月17日が、相続税法32条1項に規定する「課税価格及び相続税額が異なることとなったことを知った日」に当たる
として、特例の適用を求める更正請求は期限内になされたものである等と主張した。

審判所はまず、小規模宅地等の特例の対象とした土地は、遺産分割協議書の作成日付の日(平成30年12月26日)において遺産分割されたものと認定。
その上で、Xらが特例適用を求めた更正の請求は、申告の時点では未分割であった対象土地について、遺産分割により「申告期限から3年以内に分割された場合」に該当したことによりなされたものであるから、相続税法32条1項規定の「課税価格及び相続税額が異なることとなったことを知った日」についても、土地の遺産分割の日である「遺産分割協議書が作成された日」であると判断。
特例の適用を求める更正請求は、対象土地の遺産分割の日の翌日から4か月以内が期限であり、Xらは期限内に請求をしなかったとして、その請求を斥けた。