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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和3年8月4日裁決)

2022年05月09日
子の口座から移転した金銭は事業外所得
令和3年8月4日裁決
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個人事業主の所得税を資産負債増減法により推計する際、親子間での貸付けの返済として子名義口座から親名義口座に移転した金銭について、原処分庁は事業所得に当たると主張した。審判所は入出金の状況等から、金銭は事業所得を原資とするものではなく、事業外所得に当たると認定した。
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Xは魚のあらの回収を業とする個人事業主である。Xは同居人Aと生計を一にしている。
同居人Aは、Xと同居人Aとの間の子B名義の普通預金口座から、平成28年7月30日に100万円、翌31日にも100万円を出金した。翌8月1日、同居人Aは、X名義の定期預金口座を開設し、同口座に200万円を入金した。
Xは、平成27・28・29年分の所得税等について、それぞれ期限内に確定申告をした。
令和元年7月、原処分庁は、Xの各年分の期首・期末における資産・負債の金額から所得金額を計算する推計の方法(資産負債増減法)により算定し、各年分の所得税等の更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
Xは処分を不服として再調査請求をしたところ、再調査審理庁は棄却の再調査決定をしたため、審査請求に及んだ。

Xは、原処分庁が採用した資産負債増減法による事業所得の金額の算定においては、
(1) 子B名義口座から引き出された200万円は、X及び同居人Aが生活費等に費消しているものであるから、事業所得から減算すべき
(2) 子B名義口座からX名義口座へと移動した金銭200万円は、Xが子Bに対し車の購入資金として貸し付けた200万円の返済によるものであり、Xの事業外収入に当たるので、減算調整項目として事業所得から減算すべき
等と主張した。

一方、原処分庁は、
(1) 子B名義口座から引き出された200万円を生活費等に費消したとする事実がない
(2) 子B名義口座から引き出された金銭によってX名義口座が開設されたとの事実を裏付ける証拠がなく、子への貸付け及びその返済を裏付ける証拠もない
等として、減算調整項目(事業外所得)として減算すべき金額はない等と反論した。

審判所は、
(1) 子B名義口座から合計200万円が引き出された翌日に、同額がX名義口座に入金されたこと
(2) 子B名義口座の通帳・キャッシュカードを同居人Aが子の同意のもと管理していること
(3) 子B名義口座から引き出された200万円がX名義口座への入金以外に充てられたことをうかがわせる事情がないこと
等から、X名義口座に入金された金銭は本件普通預金口座から引き出された金銭を原資とするものであり、事業所得を原資とするものとはいえないと認定。
その上で資産負債増減法にて再計算したところ、原処分のうち平成28年分について更正処分の金額を下回ったため、この分について取り消した。