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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和4年2月7日裁決)

2022年11月25日
ふるさと納税返礼品の評価額は自治体の調達価格
令和4年2月7日裁決
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ふるさと納税の返礼品による経済的利益を一時所得として計算する際、その評価額と計上時期をめぐり争いとなった。審判所は、地方自治体が返礼品の調達・提供のために支出した金額を算定の基礎とし、返礼品が納税者のもとに届いた日の属する年を収入の時期とするのが相当とした。
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Xは、複数の地方自治体にいわゆる「ふるさと納税」を行い、平成29年・30年において返礼品を受け取った。Xは、両年分の所得について、それぞれ青色の確定申告をした。
原処分庁は、Xの両年の所得税等に係る税務調査において、各自治体による返礼品の評価額等を照会し、これに基づいてXの経済的利益の価額を算定の上、この価額が一時所得に係る総収入金額に算入すべき金額に該当するとして、令和2年3月付で、両年分の所得税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
Xは処分を不服として審査請求に及んだ。

Xは、
(1) 原処分庁による認定の基となった各自治体による評価額(調達価格)は、同内容の返礼品でもその評価額が異なるなど算定がずさんであり、客観性・合理性を欠く。
また、Xの各返礼品の取得日と各自治体の各返礼品の調達日が同じではないことからも、原処分庁の認定額がXの取得日における経済的利益の価額とみることはできない
(2) 仮に一時所得の金額を計算するとしても、その経済的利益の価額は、事業の広告宣伝のための賞金を受けた場合の評価に関する課税実務上の取扱いに基づき、原処分庁の認定額に60%を乗じた価額とすべき
と主張した。

審判所は、前提として、返礼品に係る所得(経済的利益)は、これに対して所得税を課さないとする旨の規定がないことから課税所得に該当し、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得のいずれにも当たらず、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものであるから、一時所得に該当するとした。
また、ふるさと納税をした個人は自治体からの贈与により返礼品を取得すること、返礼品の提供が納税者個人に対する謝礼であることから、返礼品に係る経済的利益の価額は、自治体が謝礼(返礼品の調達・提供)のために支出した金額を算定の基礎とすることが相当であるとした。
なお、返礼品に係る経済的利益の価額の収入すべき時期については、返礼品が例えば果物など季節ものであった場合や、発送時期が年末であった場合など、個人がふるさと納税をした年分と返礼品の送付を受ける年分とが必ずしも一致せず、また一般的にも一時所得に係る総収入金額の収入すべき時期はその支払を受けた日であることから、本件における各返礼品に係る経済的利益の価額の収入すべき時期は、各返礼品がX住所地等に到着した日の属する年分とするのが相当であるとした。
以上を踏まえると、原処分庁による認定額には価額及び時期の認定に一部誤りがあるものの、原処分庁の認定額が適正でないとするXの主張(1)には理由がなく、また、各返礼品はそもそも事業の広告宣伝のための賞品ではないから、賞品の評価に関する課税実務上の取扱いに基づいて各返礼品を評価すべきとする主張(2)も採用できないとして、これらを棄却。価額及び時期の認定に誤りがあった部分についてのみ、原処分庁による処分を取り消した。