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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和4年4月15日裁決)

2023年01月13日
生保一時金等の申告漏れは重加算税の賦課要件を満たさず
令和4年4月15日裁決
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生命保険の一時金等を所得として申告していなかった年金受給者について、隠ぺい又は仮装の事実の有無が争われた。審判所は、当初からその一時金等を申告しないことを意図していたとはいえず、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとも認められないとして、原処分庁の主張を斥けた。
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平成31年2月、年金受給者Xは、保険会社Aの生命保険(対応する既払保険料4,000万円)に基づく一時金を、預金口座への振込により受領した。また令和元年6月にも、保険会社Bの生命保険(対応する必要経費等50万円弱)に基づく定期支払金を、振込により受領した。
2社は振込に前後して、この一時金は一時所得として、また、定期支払金は雑所得として所得税等の課税対象となる旨記載した支払明細等をそれぞれ送付したが、Xはいずれも廃棄していた。
また、令和元年8月、Xは、金地金の売却による代金を受領した。これによりXは、翌令和2年2月、原処分庁から、金地金等の譲渡で利益が発生している場合は所得税等の確定申告が必要となる旨記載されたお知らせの送付を受けた。
Xは、令和元年分の所得税等について、娘婿に申告書作成の補助を依頼した上で、期限内に申告した。この申告において、振り込まれた一時金と定期支払金は、所得に含まれていなかった。
なお、直近5年間(平成26年~30年)においてXが確定申告をしたのは、平成28年の一度だけであった。
令和2年10月、原処分庁は、X宅に臨場し、調査を行った。その際、Xから預金口座の提示を受けた上で、一時金と定期支払金の申告漏れを指摘した。
令和3年2月、原処分庁は、Xの一時金と定期支払金の無申告について隠ぺい又は仮装の事実が認められるとして、重加算税の賦課決定処分をした。
Xは処分を不服として審査請求に及んだ。

原処分庁は、
(1) Xは、一時金と定期支払金が所得税等の課税対象となることを十分に認識しながら、申告書作成を補助した娘婿にこれらが振り込まれた預金口座の通帳を提示しなかった
(2) Xは、一時金と定期支払金の無申告を意図して支払明細等を廃棄したとして、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をした場合に当たり、隠ぺい又は仮装の事実が認められ、重加算税の賦課要件を満たす等と主張した。

審判所はまず、Xが保険の取扱代理店である銀行の担当者から口頭で一時金・定期支払金についての課税関係の説明を受け、また保険会社2社より支払明細等の送付を受けていたことから、申告の必要性等を一旦は認識することができたと認められるものの、この説明が確定申告から1年以上前、支払明細等の送付も9か月以上前であったこと等から、Xが確定申告の時点において申告の必要性等を認識していたとまではいえず、さらにXが過去5年間で一度しか確定申告をしておらず、今回の確定申告についても金地金の売却利益について申告が必要である旨のお知らせが税務署から届いたことを動機として行ったものにすぎず、他にも遺族年金を含めて申告しているなど、確定申告の経験や税務の知識が豊富にあったとはいえないことから、一時金と定期支払金が所得税等の課税対象となることを認識していなかったと認定。
Xが過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたかについても、
(1) Xが娘婿に通帳を提示しなかったことについては、Xが娘婿に申告書の作成の補助を依頼した際にどのようなやり取りがあったのか不明である
(2) 支払明細等を破棄したことについては、意図的に廃棄したとは認められないこと等から認められない
として、原処分庁の主張を斥け、原処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分について取り消した。