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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和4年6月2日裁決)

2023年02月03日
合資会社の社員死亡退社時のみなし配当課税の可否
令和4年6月2日裁決
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持分会社の社員が死亡退社した場合、同時にその社員の有していた社員権が持分払戻請求権に転換し、転換した時点でその価額のうち元本(出資)を超える部分がみなし配当として、死亡社員の所得を構成するかどうかが争われた。審判所は、持分会社の定款に持分の承継に関する定めがないこと等から、みなし配当に該当するとした。
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甲は、昭和25年設立の合資会社Aの無限責任社員であった。A社の定款には、社員死亡時の相続人への持分承継・払戻しや、退社による持分払戻しの計算方法に関する定めはなかった。
平成28年10月、甲は死亡し、その相続が開始した。共同相続人はXらである。Xらを除き、A社に社員はいなかった。
Xらは平成29年1月付で、死亡により退社した甲のA社に対する持分払戻請求権の払戻金額を0円とすることに同意する旨記載した「同意書」を作成。また平成29年7月付で、払戻請求権についてXらが各5分の1を取得することとする遺産分割協議書を作成した。また、甲に係る所得税等について、期限内に確定申告した。
原処分庁は令和元年8月付で、払戻請求権に係る所得のうち甲の出資額を超える部分は所得税法25条1項の規定により剰余金の利益の配当とみなすことができ、このみなし配当に係る所得が申告されていないとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
Xらは処分を不服として再調査請求をしたものの棄却されたため、審査請求をした。

Xらは、甲の死亡退社に伴う持分払戻請求権の払戻額を0円とすることが総社員による同意で決定されており、相続人であるXらに対し金銭等が交付されていないことから、みなし配当とみなされる金額はないと主張した。

これに対し原処分庁は、所得税法25条1項の規定は、金銭等が実際に交付された場合だけでなく同様の経済的利益をもたらす場合も含まれると解され、本件では甲の死亡退社に伴う持分払戻請求権の取得により実質的に利益配当に相当する法人利益が甲へ帰属したといえることから、金銭等と同様の経済的利益を得たものといえる等と反論した。

審判所は、A社の定款には会社法608条1項に規定する持分の承継に関する定めがないことから、甲は死亡退社により払戻請求権を取得したものと認められ、甲が有していた社員権(出資)が払戻請求権に転換した時点(相続開始日)において払戻請求権の価額相当額の経済的価値が甲にもたらされたといえるとした。したがって、価額相当額のうち、出資に対応する部分を超える金額は、甲のみなし配当と認められると認定。この金額に基づいて、甲の平成28年分の総所得金額及び納付すべき税額を計算すると、原処分庁の更正処分等と同額となることから、原処分を適法とした。