お問い合わせ

  • 〒101-0032
  • 東京都千代田区岩本町1-2-19
  • 株式会社日本法令 ZJS会員係
  • 会員直通:03(6858)6965
  • FAX番号:03(6858)6968
お電話での受付時間
平日 9:00~12:00
  13:00~17:30

お問い合わせはこちら

SSL グローバルサインのサイトシール

このシステムは、SSL(Secure Socket Layer) 技術を使用しています。ご入力いただいたお客様情報はSSL暗号化通信により保護されております。SSL詳細は上のセキュアシールをクリックして確認することができます。

税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和4年9月9日裁決)

2023年04月21日
一括購入土地・建物の対価は固定資産税評価額比で按分
令和4年9月9日裁決
---------------------------------------------------------
土地・建物を一括してなされた売買契約で、契約上の建物の価額が固定資産税評価額に比して著しく高額であったケースについて、その建物の減価償却費が過大であるとして否認された。審判所は、土地・建物それぞれの価額が客観的な価値と比較して著しく不合理なものである場合には、合理的な基準である固定資産税評価額により按分して算定するのが相当と判断した。
---------------------------------------------------------
不動産賃貸業者を営むXは、平成28年から30年にかけて、3つの物件について、土地と建物をそれぞれ下記の内訳価額にて一括で買い受ける売買契約を締結し、取得後は順次これらを貸付けの用に供した。
・A物件……土地9,150万円、建物2億1,350万円、総額3億500万円
・B物件……土地930万円、建物2,170万円、総額3,100万円
・C物件……土地585万円、建物1,365万円、総額1,950万円
Xは、平成28~30年分の所得税等について、それぞれ確定申告書を期限内に提出した。
令和3年3月、原処分庁は、売買契約書に記載された土地・建物の価額が著しく不合理であることから、当該土地・建物の固定資産税評価額の価額比に基づいて建物の取得価額を算定すべきであり、減価償却費が過大であるとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
Xは、原処分を不服として再調査の請求をしたものの棄却されたため、審査請求に及んだ。

原処分庁は、
(1) 各建物は取得の時点で築27年・築40年・築38年が経過し、老朽化していたこと
(2) 固定資産税評価額では、土地価額が建物価額を大きく上回ること
(3) 3物件の土地と建物の割付比率が、一律に3対7であること
(4) 3物件の売主らに建物の売却価額に係る認識がないこと
から、3物件の売買契約上の内訳価額は恣意的で著しく不合理であり、建物について所得税法施行令126条1項1号の規定する「当該資産の購入の代価」は固定資産税評価額比にて算定すべきと主張した。
これに対しXは、3物件の内訳価額はそれぞれ第三者間での相対の商取引において合意された価額であって合理的な価額といえるから、建物に係る「当該資産の購入の代価」は内訳価額に基づいて算定すべきと反論した。

審判所は、3物件の価額の総額はそれぞれ固定資産税評価額総額を上回っており、建物価額は固定資産税評価額を大きく上回る一方で、土地価額は固定資産税評価額と同様か又は下回っているが、本件でそのように評価すべき事情は見当たらず、客観的な価値と比較して著しく不合理なものであると認定。
売主が土地・建物を一括して譲渡する場合、建物の購入の代価について、売買代金総額を土地・
建物の各固定資産税評価額の価額比によりそれぞれ按分するのが一般的には合理的な算定であり、本件で固定資産税評価額が適正な時価を反映していないとする事情もないとして、3物件に係る建物の購入の代価は、各売買代金総額を土地・建物の各固定資産税評価額比によりそれぞれ按分して算定すべきと判断。一部原処分庁の計算誤りを除き、Xの請求を斥けた。