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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和4年8月4日裁決)

2023年05月23日
電子マネーの購入対価は売上原価に該当
令和4年8月4日裁決
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代表者が同一人物である2社の間で行われた電子マネーの譲渡について、売上原価として損金に算入できるかどうかが争われた。審判所は、譲渡された側が作成していた管理台帳や受信メール内容に基づき、譲渡されたと認定できる部分について、損金算入できると判断。課税処分を一部取り消した。
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X社は、情報処理・情報提供サービスに関する調査とコンサルティング業務、広告代理業等を目的とする法人である。X社には、取締役Aを除き、従業員等はいない。
Aは、デジタルコンテンツの企画・制作・販売・配信サービス、インターネット広告配信事業、通信販売業等を行うB社の代表取締役でもある。
X社は、複数の事業者(C社及びD社等)がそれぞれ発行する各種電子マネー(決済手段の異なる3種類の第三者型前払式支払手段)を複数購入し、自社では費消することなくB社に納入・譲渡していた。これら電子マネーの購入金額(税抜)は売上原価として、総勘定元帳の外注費勘定に計上していた。
X社は、平成27~31年の各事業年度における法人税等と、各課税期間における消費税等について、期限内に申告した。
原処分庁は令和2年7月付で、各電子マネーがX社の業務との関連性を有する用途に使用された事実を確認できず、その使途や使用時期が不明であることから、外注費として損金に算入されない等として、法人税等の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分等をした。X社はこの処分を不服として再調査を請求したが棄却されたため、令和3年3月、再調査後の処分に不服があるとして審査請求に及んだ。

審判所は、本件で各電子マネーの購入金額を損金に算入するためには、各電子マネーがX社の業務の遂行上必要と認められること、具体的にはX社からB社に譲渡されたと認められることが必要として、各電子マネーについて詳細を検討。
C社から購入した電子マネーのうち2種については、B社担当者が自社パソコンで受信したメールに基づき管理表を作成し、残高や使用実績を管理しており、その内容からX社による取得と同時にB社に譲渡されたと認定。また、C社の別の電子マネー1種については、管理表は作成されていないが、使用に必要な番号が記載されたメールをB社パソコンで受信していることから、これもX社からB社に譲渡されたと認定した。
一方、D社等から購入した電子マネーについては、使用に必要な番号や、使用実績等を管理する証憑類を作成しておらず、B社が使用したことを示す客観的証拠がないことから、X社がB社に譲渡したとは認められないとした。
その上で、電子マネーの譲渡は消費税法6条《非課税》1項に規定する非課税取引に該当するので、各事業年度の損金額に算入されるのは消費税込の金額となるとして、X社の納付すべき金額を計算。原処分の一部を取り消した。