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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和4年12月21日裁決)

2023年07月28日
封筒にメモ書きされた報酬でも損金性認められる
令和4年12月21日裁決
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複数の飲食店を運営する法人が、日々の売上の現金から客引きに支払っていた報酬の金額がいくらであったかについて争われた。原処分庁は、法人が収支管理に使用していた、報酬支払の事実を裏付ける証拠である封筒について、その記載内容は信用できないと主張したが、審判所は封筒にその使途や客引きの氏名等が記載されているため、報酬の金額が記録されたものと認められると判断、課税処分を一部取り消した。
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X社は、飲食店、居酒屋、スナック、カラオケ店の経営等を目的とする内国法人。その代表取締役はAである。
X社は、平成30年5月期、複数の客引きから、X社が運営する飲食店4店舗に係る客引き行為の役務の提供を受け、その報酬としてX社は、それぞれが勧誘してきた客に係る売上に一定の報酬率を乗じた金額を支払っていた。報酬率は客引きによってまちまちであり、具体的な金額は客引きらがA代表に電話又はメール等でその都度提示し、A代表がこれを承諾することで決められており、各店舗の従業員が、日々の売上に係る現金から支払っていた。
また、各店舗における日々の売上に係る現金は、各店舗の責任者が毎日レジを締めた上で、売上集計レシート、伝票類、仕入れ等に係るレシートとともに各「封筒」に封入し、A代表が回収した後、X社名義の預金口座に入金していた。各封筒における支出金額の使途又は支払の相手方に係る記載は、次のいずれかであった。
(a) 使途として「給料」「工資」「拉客」の文言が記載されたもの、又は、支払相手として客引きの通称等と推認される氏名等が記載されたもののいずれかで、支出金額が他の使途等に係る金額と区別されたもの
(b) 使途として飲食品・消耗品等の名称等が記載されたもの
(c) 複数の使途が記載されており、内訳の記載がないもの
(d) 使途及び支払相手がいずれも記載されていないもの
X社は、各事業年度の法人税について、青色申告書により提出していた。
令和3年7月、原処分庁は、平成30年5月期に係る法人税等について、増額の賦課決定処分及び過少申告加算税と重加算税の賦課決定処分等をした。X社はこの処分を不服として再調査の請求を行った後、再調査後の処分に不服があるとして、令和4年1月に審査請求をした。

審査請求でXは、平成30年5月期に損金の額に算入すべき営業代行報酬の金額は約875万円と主張。
これに対し原処分庁は、
・X社は、客引き報酬の金額の計算根拠を示しておらず、誰に、いくら、どの役務提供の対価として支出したものかを確認することができない
・各封筒には、そのほとんどについて単に「支払」等と記載されているにすぎず、たとえ支出の事実が存在するとしても、誰に、いくら、いかなる使途として支出したのか、又は支出した金銭が何かしらの費用となるべきものか否かは明らかではなく、X社から支出の内容・相手方等の実態を確認できる証拠は提出されていないため、各封筒に記載の支出金額が客引きらへの報酬としてとは認められない
等と指摘し、損金の額に算入すべき金額は約49万円であると主張した。

審判所は、各封筒については、作成された経緯から、記載の金額については基本的に信用でき、また各客引きへの支払の事実を直接裏付ける証拠が各封筒以外になく、ただし記載内容には意味内容が必ずしも明確ではないものがある等の点を踏まえ、詳細に検討。各封筒に「給料」「工資」「拉客」と使途が記載されたもの、又は、氏名等が記載されたもののいずれかで、他の使途等に係る金額と区別して記載された支出金額の合計額約375万円について、損金に算入すべき営業代行報酬の金額であると認定した。結果、認定額が原処分庁の認定額を超えたことから、この部分について、法人税等に係る原処分を取り消した。